2023年春・夏新商品ヒットランキング 家飲み需要や節約志向に対応する商品が上位へ

文:石山 真紀(フリーライター・売場研究家)
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コロナ禍が落ち着いたものの、円安による物価上昇やエネルギー価格の高騰もあり、消費者の生活防衛意識がいっそう高まっている。2023年春・夏の新商品はこの消費マインドに対応するよう、日常使いしやすい節約志向の商品が多くみられた。酒類を中心に各カテゴリーのランキング1位商品を見ながらヒットの要因を探っていく。

酒税改正の影響もあり成長続くRTDカテゴリー

 2023年1月から6月に新商品・リニューアル商品として発売された商品を期間金額PIでランキング化したところ(販売店率20%以上の商品が対象)、主要カテゴリーのランキング1位商品は【図表】のようになった。

 RTDは高アルコール系をはじめ、若年層でも受け入れやすい低アルコール系、ウイスキーユーザーのエントリーにも貢献しているハイボール系、家飲み需要を背景に拡大したレモンサワーなどさまざまなアイテムが存在。今年10月には酒税改正による発泡酒と新ジャンルの酒税一本化があったことで、ビール類ユーザーの流入による市場の広がりが期待されている。

 サントリーの「-196℃ 瞬間凍結」は甘くなくて飲み飽きないおいしさと、強い果実感という機能的価値をかけ合わせた「-196℃」の新ブランド。-196℃製法をさらに進化させ、皮や種に含まれる果実本来の旨味や複雑味を引き出した果実感が特長で、定番の〈無糖レモン〉のほか、〈ウメ〉、〈無糖グレープフルーツ〉などのフレーバーを展開する。また〈無糖シークヮーサー〉や〈無糖アセロラ〉といった期間限定フレーバーの展開にも注力し、売場を盛り上げている。

 同社の「こだわり酒場のタコハイ」も上半期のヒット商品として記憶に新しい。同品は酒場で愛される“プレーンサワー”をイメージした、飽きのこないおいしさが魅力のRTD。ほのかな柑橘系の口あたりと焙煎麦焼酎による香ばしい風味が特長で、レモン蒸留酒由来のさわやかな「口中リフレッシュ」と焙煎麦焼酎由来の香気成分による「マリアージュ」で、食事のおいしさをいっそう引き立てる。

 輸入RTDでは米国モルソン・クアーズ・ビバレッジ・カンパニーの「ZIMA 330ml缶」が1位となった。同ブランドはコロナ禍中に一度日本から撤退したが、白鶴酒造が独占輸入販売契約をモルソン・クアーズと締結し、今年3月より全国で発売を開始している。

 白鶴酒造では米国No.1クラフトビール「BLUE MOON」についてもモルソン・クアーズと独占輸入販売契約を結んでおり、総合酒類メーカーとして、多様化する消費者ニーズに応えていくとしている。

主要カテゴリーにおける新商品ヒットランキング1位の商品

ポケットグミ/ラムネ 部門、大袋(米菓) 部門、乳酸菌飲料 部門、輸入スティルワイン 部門

国産スティルワイン 部門、スコッチ 部門、その他リキュール 部門、スピリッツ低アルコール・チューハイ 部門

リキュール低アルコール・チューハイ 部門、低アルコール・カクテル 部門
出典:KSP-POS(食品SM)に基づき弊社にて集計。2023年1月から6月までに発売された新・リニューアル商品の期間金額PIをランキングで抽出。期間は2023年1月から8月までの8カ月間。販売店率20%以上が対象

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