デジタル・ソーシャル領域に特化したPR会社『キャッチボール』の魅力に迫る
いまやWEBはプロモーションを行ううえで無視できない存在だ。だが、急速に進化するあまり、従来の発想では通用しない場合が少なくない。そのひとつがPRだ。この問題にいち早く気づき、独自の手法で取り組んでいるのが、新甚智志氏が率いるキャッチボール(東京都)だ。
デジタルPRに力を入れようと思いキャッチボールを設立
新甚智志氏がデジタル・ソーシャル領域に特化したPR&メディアエージェンシー、キャッチボールを立ち上げたのは2008年のこと。それ以前は、ブログマーケティング企業に勤務し、サービスの設計から代理店営業までトータルに担当していた。
当時WEBといえば、ブロガーが人気を集め、PRに関しても大手メディアとのリレーションで行うという従来の手法から、ブロガー経由で話題化させるというやり方に変わりつつあった。いわゆるバイラル効果をねらったプロモーションである。その結果、ブログマーケティングが注目されるようになったのだが、皮肉なことにブログマーケティングが伸びれば伸びるほど、消費者目線のはずだったブログは企業目線の広告的なものになり、お金で解決するソリューションに変容していった。そこに違和感を覚えたのが新甚氏だ。
「そもそもPRは、ネタ自体がよくないと成り立たない。元がよくなければ、誰に何を言わせても広がりません。本当におもしろい企画なら、自然と跳ねるもの。そのためには、ネタづくりこそ重要であり、さらに消費者に届くメディアに情報をのせることも大事です。よいネタを最適なかたちで提案する仕事がしたい。そう考えて、キャッチボールを設立しました」
だからこそ、同社は企画の段階からかかわり、過去事例やトレンドのリサーチを行いながら、ネタとしての可能性を見極めるコンサルティングも担う(図表)。その根底にあるのは「つくる人の想いや情熱をきちんと世に届けたい」という想いだ。
『拡散のプロフェッショナル』キャッチボールならではのPR手法
キャッチボールがほかのPR会社と大きく異なる点は2つある。まず、最適な送り先を見つけてくるところから始めていることだ。テレビや雑誌などのマスメディアは数に限りがあるが、WEBメディアは入れ替わりが激しく、無限ともいえる。しかも、どこで火がつくかわからない。それゆえ、同社では基本的なメディアだけでなく、さまざまな切り口でメディアをリサーチし、個人ブログまでチェックする。案件ごとにリスト化される送り先は、毎回300〜500件にまで上る。
ラブレターを書くような気持ちで一人一人に対してメールを送る
もうひとつは、こうした送り先に対してプレスリリースを投げ込むのではなく、受け取った相手が「記事として取り上げたい」と思うように、相手に合わせてメールの文面を書き分けることだ。その際、なぜリリースを送付したのか、その理由まできちんと書き添え、各媒体のテイストや文脈に合わせたかたちで記事も提案する。すべては興味をもってもらうためだ。
「PRは結果が出ないこともあるので、可能性のあるところはすべて押さえるというのが基本。こちらからの情報発信が埋もれてしまわないように、メールのタイトルにも気を配り、一つひとつカスタマイズする。まるで1対1のラブレターを書くようなものですね」(新甚氏)
デジタル領域に強いユニークなPR会社として実績多数
デジタルを駆使しながらも、アナログな作業を地道に続けることで、実績を積み上げてきたキャッチボール。手がけた案件は民間企業から地方自治体まで数知れず。設立当時も現在も、WEBに強いユニークなPR会社として、その名を馳せている。