精肉MDの新常識!相場高でも売上利益をアップさせる3つの方法とは

湯浅 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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今こそ調達を見直し利益商材の開発を

精肉売場の一例
相場高の状況では、調達体制の見直しや肉総菜の開発、冷凍肉の拡充などに取り組む必要がある

精肉商品の一例

 こうした相場高の状況下で、SMはどんな施策を打ち、利益を確保していけばいいのだろうか。前出の馬渕氏と木元氏は口を揃えて、①「1頭(半頭)買いによる安定した調達の実施」と②「端材の有効活用による、肉総菜の商品開発」を挙げる。

 ①の調達に関しては、部位ごとの仕入れを行うと原価が高くつくうえ、相場高の局面では値ごろ感を意識せざるを得ないため、粗利益がどんどん削られるためだ。1頭買いの方が部位別の仕入れよりも原価を抑えられる半面、在庫リスクを抱える可能性が高く、SMにとっては挑戦的な取り組みだとも言える。しかし、2点目の「端材の有効活用による、肉総菜の商品開発」を実行できれば、仕入れた肉を廃棄せずに商品化することで新たな利益の柱をつくることができ、一石二鳥である、というわけだ。

 また、大手SMのコンサルティングに定評があるアイダスグループの鈴木國朗氏は、これまで以上に店内加工の技術を高めることが必要になってくる、と指摘する。お客が精肉売場に求める第一条件は「信頼」であり、それを獲得すためには、たとえば小間切れ肉の脂肪と赤身のバランスを一定に保ったり、ハレの日向けのステーキ肉などの高額商品に関しては、ドリップが出ないように品質を保ったりする必要があるという。さらに、同氏は精肉部門では今後、冷凍肉の訴求がより重要になってくるとも分析する。「コロナ禍で伸長した内食需要と、それによって生じた『保存性の高い商品』に対する需要はコロナ後も定着する可能性が高い。独自性が高く、普段使いに重宝する冷凍肉を展開する精肉売場はお客に重宝されるだろう」(同)

 つまり、SMの精肉部門は、調達体制を見直し、インフレに悩むお客に訴求する新たな商品政策(MD)を実施することで、利益を確保しなければならない状況に直面しているのだ。

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記事執筆者

湯浅 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1996年生まれ。シンガポール出身。同志社大学グローバル・コミュニケーション学部卒業後、経済メディアで記者職に就く。フリーライターを経て、2021年12月ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。大学在学中に1年間のアメリカ・アリゾナ州立大学への留学を経験。好きな総菜はローストビーフ、趣味は練馬区を散歩すること。

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