精肉MDの新常識!相場高でも売上利益をアップさせる3つの方法とは
今こそ調達を見直し利益商材の開発を
こうした相場高の状況下で、SMはどんな施策を打ち、利益を確保していけばいいのだろうか。前出の馬渕氏と木元氏は口を揃えて、①「1頭(半頭)買いによる安定した調達の実施」と②「端材の有効活用による、肉総菜の商品開発」を挙げる。
①の調達に関しては、部位ごとの仕入れを行うと原価が高くつくうえ、相場高の局面では値ごろ感を意識せざるを得ないため、粗利益がどんどん削られるためだ。1頭買いの方が部位別の仕入れよりも原価を抑えられる半面、在庫リスクを抱える可能性が高く、SMにとっては挑戦的な取り組みだとも言える。しかし、2点目の「端材の有効活用による、肉総菜の商品開発」を実行できれば、仕入れた肉を廃棄せずに商品化することで新たな利益の柱をつくることができ、一石二鳥である、というわけだ。
また、大手SMのコンサルティングに定評があるアイダスグループの鈴木國朗氏は、これまで以上に店内加工の技術を高めることが必要になってくる、と指摘する。お客が精肉売場に求める第一条件は「信頼」であり、それを獲得すためには、たとえば小間切れ肉の脂肪と赤身のバランスを一定に保ったり、ハレの日向けのステーキ肉などの高額商品に関しては、ドリップが出ないように品質を保ったりする必要があるという。さらに、同氏は精肉部門では今後、冷凍肉の訴求がより重要になってくるとも分析する。「コロナ禍で伸長した内食需要と、それによって生じた『保存性の高い商品』に対する需要はコロナ後も定着する可能性が高い。独自性が高く、普段使いに重宝する冷凍肉を展開する精肉売場はお客に重宝されるだろう」(同)
つまり、SMの精肉部門は、調達体制を見直し、インフレに悩むお客に訴求する新たな商品政策(MD)を実施することで、利益を確保しなければならない状況に直面しているのだ。
精肉MDの新常識! の新着記事
-
2023/02/14
価格と品揃えの広さと深さで他を圧倒!オーケーの精肉売場を徹底分析 -
2023/02/14
精肉に強い食品スーパーはどこ?消費者調査でわかる主要8スーパーの実力と支持される理由 -
2023/02/14
知識が利益を生む!精肉バイヤーは「肉のコンシェルジュ」になるべき理由3つの戦法とは -
2023/02/13
牛一頭買いとプロセスセンター間の連携で実現するライフの精肉MD -
2023/02/13
安さで勝負するドラッグストア「ゲンキーの精肉売場 昨対売上15%増の秘密とは -
2023/02/13
輸入肉に加え、国産豚も相場急騰!原価高の精肉部門がやるべきこと
この特集の一覧はこちら [12記事]
関連記事ランキング
- 2024-11-08怒濤の出店で1兆円が見えたロピア!大きな進化と懸念される副作用とは
- 2024-11-07「Foods Park」の17店舗目はイオンの跡地に居抜きで出店!
- 2024-11-18レシートは語る第15回 まもなく関西進出のオーケー、データでわかる競争力と成功のカギ
- 2024-11-0633億円めざすマミーマート、生鮮市場TOPセキチュー上尾店徹底解説
- 2024-11-12価格訴求から価値提案にシフト?「岡崎エルエルタウン店」で見られたロピアの進化
- 2024-11-08専門家がヤオコー久喜吉羽店を徹底分析!斬新な鮮魚改革と意外な課題とは
- 2024-11-08店舗網とM&Aの歴史が丸わかり!最新ロピア勢力図MAP!
- 2024-11-18既存店の数字が良い企業は実践!競合スーパーが進出しても影響を受けない方法
- 2024-10-25物言う株主時代に脚光!宅配以外もスゴい「生協」の事業モデルとは
- 2024-11-13繁盛店は80億円!ロピア、強烈な販売力支える「100%現場主義」の正体とは