精肉MDの新常識!相場高でも売上利益をアップさせる3つの方法とは

湯浅 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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不安定な相場の影響で値入れが困難に

 しかし、そうした状況が変わりつつある。その大きな理由は21年後半から始まったコストプッシュ型インフレや為替要因などによる相場高と、インフレに伴い家計防衛意識の高まったお客が購入頻度を減少させているからである。

 農畜産業振興機構によると、輸入豚肉の代表的商品である「アメリカ産豚肉(ロース)」の卸売価格は、21年12月に100ポンドあたり72.2ドルだったのに対し、22年12月は100ドルと約38.5%値上がりしている。国産豚も同様で、JA全農ミートフーズ調べの東京都・横浜市・さいたま市の主要3市場の豚肉枝肉相場(上規格)は、22年平均で対前年比約10%増と値上がりしている。相場高の原因は、国内外を問わず、飼料価格やエネルギー価格の上昇、生産者の人手不足など構造的な問題によるところが大きい。

 大手SMの精肉部門出身で、精肉売場のコンサルティングを行っているブルーチップ総合研究所の木元治仁氏は、こうした輸入肉の相場高の状況を「SMの精肉部門にとっては大きな痛手。輸入肉の価格訴求は集客のための強力な手段だったので、その売価が上がると、お客の売場離れを招きかねない」と話す。「22年以降、とにかく相場が乱高下している。SMの精肉バイヤーにとっては、これまでのように安定した値入を行うことが困難で、それが部門全体の利益率の不安定化にもつながっている」(同)

 むろん、昨今の値上げ基調は精肉に限った話ではないが、「安さ」を理由にSMで精肉商品を買っていたお客が売場から離れる可能性もある。実際に本特集に際してmitorizが行ったネットアンケート調査でも、「特売の日以外は肉を買わない」「(購入する精肉の)品質は落としたくないので購入回数と買物する量を減らしている」「グラム当たりの単価をこれまで以上に確認するようになった」といった消費者のコメントが寄せられている。

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記事執筆者

湯浅 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1996年生まれ。シンガポール出身。同志社大学グローバル・コミュニケーション学部卒業後、経済メディアで記者職に就く。フリーライターを経て、2021年12月ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。大学在学中に1年間のアメリカ・アリゾナ州立大学への留学を経験。好きな総菜はローストビーフ、趣味は練馬区を散歩すること。

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