既存店売上高が6.3%増! サミットのベーカリー部門を伸ばす3つの施策

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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適時を意識した
トレンド商品開発

毎月の新商品
ダン・ブラウンでは毎月新商品を投入するほか、定期的なお楽しみ企画も用意している

 最後に③の「積極的な新商品の投入とリニューアル」については、新商品投入では毎月、5種類の新商品を開発し、WEBや店頭でアピールしている。

 注目したいのは、季節感やトレンドを押さえた商品開発が行われている点だ。10月にはジャック・オー・ランタンの形をしたクッキー「ハロウィンクッキー」を、11月にはシカゴ風ピザを食べやすいサイズにした「ミニシカゴ風ピザパン」などを販売している。

 「繰り返し来店してもらうためには、トレンドを押さえた新しい商品を定期的に提案していくことも重要。幅広い層が来店する食品スーパーの場合、多くの人がすでに認知しているトレンドをメニューに採用するのがポイントだ。昨今のトレンドは浮き沈みのサイクルが短いのでタイミングを十分見極める必要がある」(千葉氏)。

焼きたてピザを
大きくリニューアル

焼きたてピザ
サミットの焼きたてピザコーナー「窯焼PIZZA工房」(踊場駅前店)

 商品のリニューアルでは、看板カテゴリーの1つである焼きたてピザを大きく改良した。サミットの焼きたてピザは、冷凍の玉生地を仕入れて、店舗で伸ばし、専用窯を使って450℃という高温で一気に焼き上げる本格派だ。

 これを、生地を昨今好まれるもちもちした食感をより感じられるものに変更したほか、新しいメニューとして「シーフードアヒージョ」を投入した。
販売方法にもこだわり、専用BOXを採用して商品をいっそう際立たせるとともに、商品の形状を保ったまま持ち帰れるようにした。また、異なる味を楽しんでもらえるように、2種類の味が2分の1枚ずつ入った、ハーフ&ハーフ商品の提供も始めている。これらの結果、焼きたてピザの売上は大きく伸び、好業績を押し上げているという。

ハーフ&ハーフ
焼きたてピザのハーフ&ハーフ商品(写真は東京都杉並区の「西永福店」で撮影したもの)

得意とする個食対応を
ベーカリーでも実践

 そのほか、サミットのベーカリー売場で目にとまったのが個食対応だ。定番の食パンは3分1本、2分の1本、2枚入りを用意するほか、キッシュやアップルパイなどの商品でも、ホールサイズ以外に、4分の1サイズも販売している。

キッシュやアップルパイなどの商品でも、ホールサイズ以外に、4分の1サイズも販売している。
キッシュはホールサイズ(右)だけでなく、4分の1サイズ(左)も販売している

 サミットが商勢圏とする首都圏では単身世帯の割合が高いため、こうした丁寧な個食対応は、購入者を増やすことにつながりそうだ。

 このようにサミットのベーカリーが好調な背景には同社のさまざまな仕掛けが存在する。来店動機創出のうえでインストアベーカリーの重要性が増すなか、多くの学べるヒントがあるはずだ。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。

最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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