日本酒市場、若年層や女性ユーザーなど新たな顧客をつかむ売場づくりを

石山 真紀(フリーライター・売場研究家)
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日本酒カテゴリーはコロナ禍に入り、節約志向による大容量品と、健康志向の糖質オフ系や小容量の付加価値品という消費の二極化が進んでいる。家庭用日本酒市場を活性化するためには若年層や女性など、新たな顧客を育てる施策が必要となる。

コロナ禍直後の反動で前年に対して微減

 KSP-POSデータによると、2021年4月から22年3月の日本酒カテゴリーの期間通算金額PIは、対前年同期比3.0%減の1万10円、数量PIは同2.2%減の16.75となった。日本酒のカテゴリーは例年、気温が下がり店頭に鍋物商材が増える10月頃から数字が上がり、歳暮や年賀といったギフト需要および人の集まる12月、1月が山場となる。

 月別の前年比動向を見ると、20年はコロナ禍に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に伴う飲食店の営業自粛により、外食を控える生活者が増加したことで家飲み需要が急拡大。他のアルコール類同様、日本酒カテゴリーも影響を受け前年を大きく上回る月もあったが、今期はその裏年となったことで春先から初夏にかけてとくに数字が悪くなっている。22年に入ってからは前年並みの数値となっており、景気の回復に合わせ日本酒の市場も正常化することが期待される。

日本酒のイメージ
家庭用日本酒市場を活性化するためには若年層や女性など、新たな顧客を育てる施策が必要となる。i-stock/kuppa_rock

 コロナ禍に入ってから2年以上が経過しワクチン接種も進んでいるが、家で過ごす時間はコロナ前と比較し依然として長い。在宅時間が増えたことで家でも手軽に外飲み気分を味わいたいというニーズは着実に上がっており、自宅で日本酒を楽しむユーザーも増えている。

 ただ、コロナ禍が長引くことで生活者の消費マインドに変化が見られ、節約志向やまとめ買いの観点から選ばれる大容量タイプと、健康志向による糖質オフ系や小容量のちょっといいものといった付加価値タイプという消費の二極化が見られる。

 日本酒メーカー各社では和食だけでなく洋食にも合わせやすいタイプや、飲みごたえのあるタイプ、リラックスタイムにも楽しめるやさしい味わいなど、多様な味わいの商品を開発し、家飲みユーザーの拡大と定着に努めている。

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