PBはライフスタイル商品になる?イオンやライフが示す2020年代の進化
うまい・安いだけが問題ではない
PBは、ライフスタイル軸に合わせて多軸化を進めている真っ最中です。10年代の後半にはその傾向が現れていましたが、20年代に入ってからのコロナ禍で、流れはより確実なものになっています。これまでの価格の3層構造は、価値軸の基準を味覚だけに置いていたともいえます。「安くてうまい」がスタンダードなら、低価格シリーズは「より安く、それなりにうまい」、プレミアムは「値段は張るけど、よりうまい」を追求したものでした。しかしライフスタイル軸になると、購入はうまいかどうかだけでは決まりません。
問題は味覚だけじゃない、という消費者の価値軸に対応する例は増えています。ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)が、「ライフプレミアム」とは別に、自然派志向の「ビオラル」シリーズを走らせているようにです。
イオンの「トップバリュ」では、さまざまなライフスタイルのニーズに対応していくことで、サブシリーズ化が進んでいます。ライフスタイル軸の商品は、人によって価値か無価値かはっきり分かれますから、それぞれの特徴を明確に打ち出そうとすればサブシリーズが増えていくのは自然の流れです。「トップバリュ」は、多様な価値軸に分化した各シリーズの総称に変わりつつあります。
20年代の世の中は、地球温暖化で要請される環境対策にしても、高齢化で求められる健康配慮にしても、味でも価格だけでもない価値軸が必要な時代です。少なくとも消費スタイルの通念としてサステナビリティが常識化するまでは、PBのトレンドは多様な価値軸を打ち出すことで自己アピールする流れが続くように思います。