特需の反動減を経て2023年度は好業績が続出?2022年度食品スーパー決算を振り返り

兵藤 雄之
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ヤオコーは増収増益を続けられるか

 各社の決算発表を待つ前に、22年度決算での売上ランキングはどうなっていたのか、ここで振り返っておこう。

 22年度決算では、多くの企業に増収をもたらしたコロナ特需をへて、社会が日常を取り戻し始め、SM業界は各社の実力がそのまま業績に直結するフェーズに入ってきた。

 売上高ランキングで首位となったのはライフだ。

 首都圏と近畿圏で11店舗を新規出店するとともに、近畿圏を中心に4店舗で大型改装を実施した。23年2月期の既存店売上高は0.1%減とほぼ前期並みを維持し、客単価は1.2%増と堅調に推移した。23年2月期は新収益認識基準適用のため営業収益の前期との比較はないが、旧基準ベースでは営業収益は2.3%増となっており、実質的に増収減益決算だった。

 2位はU.S.M.Hだ。カスミが営業収益1.1%増と健闘したが、売上規模が最も大きいマルエツ、マックスバリュ関東が減収となった。当期純利益は75.1%減の13億円と大きく落ち込んだ。

 3位は米ウォルマート傘下から事実上離れた西友。従来のEDLP(エブリデー・ロー・プライス)を軸とした販売手法を継続しつつ、生鮮食品のPB(プライベートブランド)開発や個店での地域対応なども推進している。同社株式の20%を保有していた楽天グループが米投資会社のKKRへ売却、12月には楽天西友ネットスーパーを楽天グループが完全子会社化することを発表するなど、両社の関係に変化が生じているが、戦略的協業関係に変更はないとしている。

図表●2022年度SM企業売上高ランキング(トップ20社)

 4位のアークスは、事業会社が緩やかに連帯する企業グループ。23年2月期から新収益認識基準を適用しているが、ラルズ(北海道)、ユニバース(青森県)、ベルジョイス(岩手県)、道北アークス(北海道)、福原(北海道)が新収益認識基準ベースで増収となっている。

 5位以下で、成長基調を維持し続けるのが、5位のオーケー、7位のヤオコーだ。オーケーの23年3月期は増収減益だったが、首都圏郊外を中心に積極出店を継続している。ヤオコーは業界全体が減益基調となるなか、34期連続となる増収増益を達成。その実力を見せつけた。

 売上高ランキングでは18位だが、前年から順位を2つ上げたのが、2ケタの増収増益を果たしたロピア。地盤とする関東のほか、東海、関西、さらには台湾へと事業を拡大した。

 24年度はオーケーが関西1号店となる高井田店(東大阪市)をオープンする。ロピアを展開するOICグループは、24年8月から25年3月にかけて、イトーヨーカドー7店舗を事業承継。U.S.M.Hは24年11月をメドに、イオンの連結子会社となったいなげやを加えた4社の事業会社で売上高1兆円をめざすとしており、近々、SM業界の売上高ランキングにも大きな変化が現れてきそうだ。

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