ソフトバンク DX推進から生成AIの活用まで小売業向け総合支援体制を強化

2024/03/04 10:00
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データの利活用、スマホによる現場の業務効率化を支援

 スマホアプリの位置情報を統計化した人流分析を出店計画や競合店分析に使えるようにしたのが「マチレポ」と「トラカン」だ。出店戦略における立地調査では、目視に頼った現地調査に多くの労力がかかり、データの取得までの時間や鮮度、網羅性、分析にかかる工数が負担になっていた。「マチレポ」と「トラカン」は、アプリ上で許諾を得たユーザーの位置情報を365日、日本全国から網羅的に取得し、出店エリアの商圏情報や来訪者数・属性に加え、競合店の来店客数や客層を把握できる。さらに、「トラカン」は道路通行量を把握することも可能だ。有力候補地への出店計画をスピーディーに進めることができ、大手小売チェーンや飲食店チェーンでの活用がすでに進んでいる。

トラカンマチレポ画像
位置情報を統計化した人流分析で出店計画や競合店分析に活用できる

 LINEヤフーが提供しているデータソリューションサービス「DS.INSIGHT」は、検索や位置情報などの行動ビッグデータを分析できるツール。あるスーパーマーケットの事例では、「サバ缶」の売上を伸ばしたいという課題に対して、消費者の検索キーワードから「サバ缶」と「ダイエット」に関する前後検索の結果や、「オートミール」の商品の関連性を発見し、売場で関連販売する施策を実施することで売上前年比15%増を達成した。このように、「DS.INSIGHT」は検索されているキーワードを元に、検索者の性別などの属性や他にどのような興味関心があるかを把握できるため、様々な課題解決に活用可能だ。

 AI需要予測サービス「サキミル」は、人流統計データと日本気象協会の気象データを活用して、企業が保有するPOSデータなどと組み合わせて需要予測を分析し、高精度な来店客数の予測結果を提供するサービス。スーパーマーケットや専門小売などを中心に、多くの企業で仕入れの最適化に活用して、欠品による機会ロス、廃棄コストの改善に役立てられている。「サキミル」を導入している小売業の事例では、廃棄ロスを約5%低減し、販売機会の損失を約10%低減する効果を上げている。

サキミル画像
人流統計データと気象データを活用したAI需要予測で機会ロスや廃棄コストを改善できる

 スマホを活用した業務効率化の提案にも力を入れている。小売業において課題となっているのが、店舗運営にかかる通話や通信コストの問題である。本部・店舗間の通話で外部への通話料が発生し、データ通信を利用した通話にWi-Fiを使用することで店舗回線が逼迫する、持ち運ぶ端末が多く店舗スタッフに負荷がかかるなどの課題を抱えている小売業が多い。ソフトバンクは、拠点間の通話の内線化やインカム・バーコードリーダーの機能をスマホに集約することで店舗運営コストを削減できるサービスを提案している。コミュニケーションのリアルタイム性を向上させ、コミュニケーションが効率化することで、この仕組みを採用しているスーパーマーケットの事例では、店舗運営コスト約5%削減を実現している。

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