鍵1本で警報、商品入れ替えに対応 体感売場づくりをサポートする万引防止警報装置

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万引防止施策と顧客満足は、時として相反する関係性になる。万引防止に力点が行きすぎると、顧客にとっては商品を手にしにくくなることが多いからだ。このコロナ禍でネット通販(EC)を日常的に利用する層が広がり、実店舗の店頭においても、〝モノ〞より〝コト〞へ、体感・体験できることが、買物行動に大きく影響を与えるようになった今、顧客視点に立った「万引防止警報装置」に注目が集まっている。

万引の犯罪割合が年々、上昇している

 警察庁の調べによると、この十数年、「刑法犯認知件数総数」、いわゆる犯罪件数総数は一貫して減少し続けているが、小売業がその対応に頭を悩まし続けている万引件数は総数では減ってはいるものの、犯罪件数総数に占める割合が年々、高まっている(グラフ参照)。

全刑法犯に占める万引の割合

 直接の因果関係はわからないが、この間にインターネットの普及があり、ネットオークションやフリマアプリを利用した換金手段が目立ってきているという。

 一方、消費者の購買スタイルも、リアルからネットへの移行が確実に進んでいる。

 新型コロナの影響で、その動きに拍車がかかる一方、体感・体験できる実店舗の役割が重要になっている。また、外出自粛、在宅勤務等により、家時間が長くなり、園芸やDIYを始める女性が増えている。工具メーカーの中には、持ち手のグリップを細くしたり、カラーバリエーションを増やしたりと、女性を意識した商品づくりを進めているところもある。

 こうした環境下、小売業の有線式万引防止警報装置開発のパイオニアであり、家電量販店をはじめ高級展示品を数多く扱う小売チェーンの防犯強化のためのソリューション提案を続けてきたMatsuoSangyo(福岡県/渋谷翔一郎CEO)では、今、小売業の売場を革新的に変える万引防止警報装置「InVue」を積極展開している。

誤報回数は大幅減、商品入れ替えも簡単

 「これまでの万引防止警報装置は『展示品を守る』ことがメーンの役割だったが、今は『直接、手に触れてみたい』『自分で体験してみたい』といった顧客視点を踏まえたものが必要とされている。そこでInVueを導入いただく店舗が増え続けている」と、渋谷社長は確かな手応えをこう語る。

 従来、パソコン、一眼レフカメラ、携帯電話、ウエアラブル端末など、数多くの高級展示品を管理する家電量販店では、その防犯管理のために何本もの鍵が必要になっていた。警報が鳴ったときには、その鍵の束を保管場所まで取りに行き、それから現場に駆け付け対応するという手間がかかり、警報の誤報は少なくなかった。

箱の中身だけを抜き取られないようにする「パッケージラップ」
箱の中身だけを抜き取られないようにする「パッケージラップ」。IR KEYでタグの開閉をする

 ところが、InVueを導入すれば、店舗スタッフが1本の鍵(IR KEY)で同様の対応ができ、しかも誤報の回数も格段に減少する。店舗スタッフ全員がIR KEYを持つこともできる、対応に要する時間も大幅に削減される。

 展示品の入れ替えも、アラームを止めて、エクステンダー(展示品を接続する延長コード)をはずし、新たな商品を接続し、アラームの設定、これだけだ。

 「ある家電量販店では、以前は商品入れ替えに30分かかっていたものがInVue導入後は1分もかからなくなった」(同)。

IR KEY4つの特徴

防犯しながら体感できる売場へ

 高級展示品の防犯には標準セット「S2865」がある。

 警報を鳴らす「アラームボックス」、展示品に給電する「ラージパワーボックス」、最大48アイテムの管理が可能な「アラームアクセサリーボックス」の3点は什器内に隠れるもの。顧客から直接見えるのは、アラーム設定を解除する「IRドッド」と、柔らかく伸び縮みする「センサー」だけだ。売場を見ても、どこにアラームの仕掛けがあるのかわからない。顧客はそれだけ気軽に体感することができる。

 ホームセンターの電動工具売場などは、いまだ物々しい鎖で巻かれていることが多い。使い慣れた男性ならともかく、これからDIYを楽しもうというビギナー女性が、この状態で進んで試そうとするとは考えにくい。せっかく売場まで足を運んでくれた見込み客を逃してしまう可能性は高い。

 あるウエアラブル機器の例がある。簡単にポケットに入るため、万一を心配して施錠のできるショーケースで展示していたが、「身に付けて試してみないと使い心地はわからない」という声もあり、InVueに接続し、自由に体感できるようにしたところ、売上が3.8倍に伸長したという。

Matsuo Sangyo株式会社代表取締役会長兼社長渋谷翔一郎 氏
Matsuo Sangyo株式会社
代表取締役会長兼社長
渋谷翔一郎 氏

 現在、Matsuo Sangyoでは、このInVue事業のほかに、ムダな作業を省き、経費削減の提案を行う業務改善事業、デジタルサイネージ等を活用し売上アップを図るマーケティング支援事業を展開している。同社では協業関係を築いている取引先が全国にあり、小売企業の店舗が国内のどこにあってもすぐに駆け付けられる体制を確立。また、事前に店舗を訪問、現場へのヒアリングを通じた、売上アップ、業績向上のための改善提案を行うことでも高い評価を得ている。

 「InVueは万引を防止するためだけの装置ではない。導入コストは従来の万引防止警報装置よりかかるが、直接、接客に関係しない作業を効率化し、売場スタッフがお客さまと向き合い、接客に集中できる環境をつくってくれる。そして、その先には売上アップ、業績向上が待っている」

 渋谷社長は「InVueは小売業の未来への投資」、そう締めくくった。

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記事執筆者

株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア デジタル推進室では、日々の流通・小売業関連のニュースを配信するほか、メールニュースなどを通じてDCSオンラインユーザー様とのコミュニケーションを行っております。

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