アリババ、出店企業との関係変更で重大な影響見込まず 株価上昇
[上海 12日 ロイター] – 中国アリババ・グループの張勇(ダニエル・チャン)最高経営責任者(CEO)は12日、自社通販サイトの出店企業に競合サイトとの取引を認めない慣行に当局のメスが入り、変更を余儀なくされたことについて、重大な影響は見込んでいないとの見解を示した。
同氏はまた、自社通販サイトに出店を希望する電子商取引(EC)事業者に対する参入障壁や経費を下げるための方策を講じる考えを明らかにした。メディアとアナリスト向けのオンライン会見で語った。
中国国家市場監督管理総局(SAMR)は10日、アリババ・グループが独占禁止法に違反したとして180億元(27億5000万ドル)の罰金を科したと発表した。
アリババを巡っては、創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が昨年10月、国の規制制度を批判して以来、締め付けが厳しくなっていた。
主要な不透明要素が取り除かれ、当局が求めた罰金や是正策がより厳しいものにならなかった安心感から同社の香港上場株は最大9%上昇した。
アリババの幹部らは、当局の措置にもかかわらず、同社が政府から全面的な支持を得ているとの確信を改めて示した。
同社の蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)副会長は「彼らは当社のビジネスモデルを支持している。われわれは、プラットフォーム企業としての基本的なビジネスモデルに何の問題もないことに安心感を覚えている」と述べた。
市場の反応はポジティブで、株価は昨年7月以来の大幅な上昇率を記録した。
光大新鴻基のストラテジスト、ケニー・ウン氏は、「罰金処分が科されたので、市場のアリババに関する不透明感は低下するだろう」と指摘した。
SAMRは、自社通販サイトの出店者が他のプラットフォームに出店することを禁止する「二者択一」の慣行により、アリババが2015年から市場における支配的地位を乱用してきたと結論付けた。
SAMRは罰金に加え、アリババに対し、徹底した改革によりコンプライアンス(法令順守)を強化し、消費者の権利を保護するよう指示した。
アリババは、罰金に応じるとともに、「コンプライスの徹底を断固として図る」とコメントした。
格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスのシニア・バイスプレジデント、Lina Choi氏は「求められる是正措置により、市場シェアの拡大が抑制されることから、アリババの売上高は伸びが圧迫される見通しだ」と指摘。「出店業者の維持や製品・サービス改良への投資も利益率低下につながる」との見方を示した。
ツァイ副会長は、出店業者を維持するために「独占(契約)に頼っていない」とし、そのような契約は過去において「天猫(Tモール)」の少数のフラッグシップストアに限られていたと述べた。
また、アリババと同業他社は引き続き規制当局から合併・買収(M&A)の審査を受けていると述べ、他の独禁法関連調査は承知していないと語った。
武衛・最高財務責任者(CFO)は当局に科された罰金は1─3月期の純利益に反映されるとした。
ニューヨークのセージ・キャピタルの社長、フランクリン・チュー氏は「27億5000万ドルの罰金は、中国政府との和解プロセス開始に向け、意味深いが十分支払える金額だ」と指摘。
「アリババは依然として、急拡大する中国経済に投資する魅力的かつ便利な方法だ。中核事業の底力を考えれば、同社株は過小評価されている」と述べた。