ウォルマートをも打ち負かす! アメリカ最強スーパーを形づくる4つの条件とは

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特徴❸
優れた顧客サービス品質や規律

 このモチベーションは店頭において、優れた顧客サービス品質、ゴミの落ちていない店内や店外、陳列の乱れのない整然とした売場、お客への声かけ、といった店舗環境のバックボーンとなる。

 私はアルディで何度も、店員の技術力の高さを目の当たりにしている。ディスカウント型だから低レベルで安い労働力を使っていると考えている人がいるかもしれないが、実は真逆なのだ。パブリックス、H-E-B、ウェグマンズ、ウィンコフーズでも同様、目を見張るような店員の動きを何度も目撃している。

特徴❹
チェーンストアとしてのローカライゼーション

 ダラスに進出したH-E-Bの4店舗はほぼ似通った商圏に立地しており、フォーマットもまったく同じである。だからアソートメントも同じ、とならない点がH-E-Bらしい。カテゴリーごとによく眺めると微妙に品揃えが違うのである。これには私自身が驚き、これがH-E-Bなのかと納得したものである。

 究極のローカライゼーションを実現しているのがトレーダージョーズだ。本社が決めるゾーニングやプラノグラム(棚割りシステム)は存在せず売場が考えるのだが、アルバイトにまで任せてしまうことがあるという。

 またプライスカードやエンドのトップボードなどすべて手書きで、壁面に並んでいる看板はすべてローカルコミュニティが誇りにしている何かだそうだ。たとえば海が近くにあるならばビーチ、学校が有名ならば学校、といった具合である。

 顧客サービスも徹底している。お客との雑談は奨励されており、長話をしている光景を何度も見たことがある。ローカルに溶け込むためには標準化された形式だけのサービスではダメなのである。

 アメリカは資本主義の権化のような国で、ファミリー経営は時代遅れで、トップダウンな本社主導型チェーンストアが全盛だ、と考えている方も少なくないことだろう。ところが実際はそういうわけでもないのである。

 アメリカの食品小売業界は世界的に見ても非常に強い企業がひしめいていると思っている。なぜなのかはわからない。彼らから学ぶことは依然としてたくさんあると思っている。

 

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記事執筆者

在米40年、現在はロサンゼルス在住。小売業界ジャーナリスト。年間訪問店数はのべ600店舗超、現場検証に基づいた分析をモットーとする。

著書

『ソリューションを売れ!』(ニューフォーマット研究所)
『誰も書かなかったウォルマートの流通革命』(商業界)
『アマゾンVSウォルマート ネットの巨人とリアルの王者が描く小売の未来』(ダイヤモンド社)

 

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