2019年中国は「健康中国行動(2019-2030)」を導入し、社会全体での減塩・減油・減糖を提唱した。それに伴い大手企業が次々と糖質制限関連の新商品を発売し、食品・飲料業界に低糖質・無糖ブームが到来した。またCOVID-19の影響で消費者の健康意識が高まり筋トレする層が増え、タンパク質関連食品も流行している。今回は中国で今流行している健康に関する代替食品を紹介する。
拡大する無糖飲料市場
健康中国飲料食品糖質削減白書(2021年版)によると、中国の無糖飲料の市場規模は2027年に276.6億元に達すると推定され、無糖飲料の市場シェアは3年間でほぼ倍増した。しかし、中国の無糖飲料の市場シェアは日本に比べるとまだ低く、今後、成長すると見込まれている。2016年まで中国ではお茶にも砂糖が入っており、サントリーの烏龍茶でさえ「微糖」がよく売られていた。現在、店頭ではそれら低糖の商品を見かけることは少なくなった。
「低糖」のスイーツ代替食品がコンビニにも並ぶ
無糖炭酸飲料や無糖茶が急増しており、ドリンクスタンドで有名な喜茶も「0カロリー飲料」を発売している。中国で糖は日本より「体を悪くするもの」の意識が強く、ダイエット以外でも「糖質制限」や「抗糖化」志向などで無糖飲料の需要が高まっている。タピオカミルクティー大国の中国では、ミルクティーやケーキを制限する人が増えてきており、我慢できない人のためのスイーツ代替食品が多く見受けられるようになっている。ストイックに糖を断つというより、見た目もよく味もおいしい代替食品が登場しており、ECのみならずコンビニ等でも気軽に購入できる環境が整ってきている。
「卵の白身だけ」の食品が人気
中国では「医食同源」という考え方が根付いており、普段の食事で健康を維持・向上させようという意識がとても高い。例えばビールを注文する際にも必ず冷たいものか常温か確認される。タクシーの運転手は必ず水筒を傍らに所持しており、温かいお茶や白湯を定期的に摂取している。体を冷やすことは体調不良につながるという意識が、現代でも老若男女少を問わず少なからず存在するのである。
「顔値」という見た目の偏差値を重視する90年代生まれ以降の世代は特にその意識が高く、「見た目もよく、健康であること」が欠かせなくなってきている。その傾向はジムや健康器具の市場にも現れており、2020年中国フィットネス産業データ報告によれば、2020年、コロナ禍でフィットネス場の倒産が相次ぎ店舗数が減少したにもかかわらず、フィットネス人口は増加している。
ジムやフィットネスクラブ通いをする人口が増えたことによって、糖質制限、プロテイン含めタンパク質の需要が増加。プロテインだけでなく、食事から健康を整えようとする中国ならではの新しい商品が続々と登場している。
卵はトレーニングしている人にとっては優れた食材として認知されているが、卵の黄身はコレステロールが高いことから「卵の白身だけ」の食品が登場している。プロテインのような飲料ではなく、普段の食事から摂取でき満足感も得られるというメリットにより徐々に人気が高まっている。
現在、中国では健康志向、ダイエット志向そしてボディメーク志向が高まってきたことを受け、プロテインや低カロリー、無糖の食品が数多く新発売されている。ただ、高たんぱく質、低糖質のロカボメニューを取り扱う外食業はライトミール店を除きまだ少数にとどまっている。今後、デリバリーでの取り扱いの拡大も含め、健康志向に対応した食品や関連するトレーニング市場の成長が期待されている。
日系ブランドコンサルとして、上海に拠点を構え、ブランド戦略立案とクリエイティブ制作を提供する。多数のリサーチ案件を通じて消費者、マーケット動向を注意深く観察し、中国市場に合わせたブランドカルチャライズ®を数多く手掛ける。上海、東京、香港に拠点あり。