米11月の求人件数減少、レイオフ増加 労働市場回復に鈍り
[ワシントン 12日 ロイター] – 米労働省が12日に発表した2020年11月の雇用動態調査(JOLTS)によると、求人件数が減少したほか、レイオフ件数は増加した。新型コロナウイルスの感染が再び急拡大する中、労働市場の回復に鈍りが見られる。
求人件数は10万5000件減の652万7000件。昨年1月時点では700万件を超えていた。求人率は4.4%と前月の4.5%から低下した。.
求人は製造業、情報、教育などの分野で減少。11月は求人1件当たり1.6人の失業者がいた計算になる。
レイオフ件数は29万5000件増の197万1000件。レイオフ率は1.4%と前月の1.2%から上昇した。コロナ感染の急増でとりわけレストランやバーなど飲食業が影響を受けている。
業種別のレイオフ件数は、宿泊・飲食業が26万3000人、ヘルスケア・社会支援業が4万2000人、政府部門が2万1000人。
オックスフォード・エコノミクスのシニア米国エコノミスト、リディア・ブソル氏は「新型ウイルス感染拡大による月々の大きな振れを差し引いても、レイオフ件数の増加は歴史的に見て高水準にあり、グレート・リセッションの最悪期をなお上回っている」と述べた。
採用件数は597万9000件と、6万7000件増加。採用率は4.2%だった。採用件数は専門職・企業サービス、鉱業、材木業で増加した一方、宿泊業や飲食業を含むその他のサービス業と情報業で減少した。
自発的な離職件数は315万6000件と、ほぼ横ばい。ただ業種別では、宿泊・飲食業で6万4000人が自発的に離職した。自発的な離職率は2.2%と、横ばいだった。
労働省が8日に発表した昨年12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比14万人減少し、8カ月ぶりに悪化に転じた。労働市場の減速が確認されたことで、20日に発足するバイデン新政権に対し大規模な支援策の策定に向けた圧力が高まる可能性がある。
ナロフ・エコノミクスのチーフエコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「感染拡大を受けた直近の抑制措置が導入される前から、労働市場は軟調になり始めていた」と指摘。エコノミック・ポリシー・インスティチュートのシニアエコノミスト、エリーズ・グールド氏は「採用件数と求人件数はこの水準にとどまっており、議会が追加的な措置を打ち出さない限り米経済の回復は緩慢になる」と述べた。