新型コロナによる米雇用減、部門・人口動態別の状況
[4日 ロイター] – 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて米国では3月、広い範囲で雇用者数が減少したが、内訳をみると、特定の業界や女性、若者、教育水準が低い人の間で影響が顕著となる傾向が見られた。
米労働省が3日発表した3月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比70万1000人減とマイナスに転じ、11年前の金融危機以来の大幅な落ち込みとなった。今回の統計の調査は3月中旬に行われたもので、新型コロナの感染拡大による経済的影響が完全に反映されているわけではない。
それでも3月の雇用統計では、企業活動停止の初期段階から、ホテルや飲食、教育といった業界で雇用減が顕著だったことが示された。感染拡大防止措置に伴い、旅行業界が停止に陥り、バーやレストランが休業に追い込まれたほか、保育施設なども閉鎖された。
また皮肉なことに、公衆衛生上の危機下にありながら、医療セクターも大きな打撃を受けた業界の1つだ。新型コロナ感染症の治療を除くほぼすべての医療サービスで患者の受け入れを停止したためだ。
3月の雇用者数はより大幅な減少に改定されるのが必至で、4月はさらに大きな落ち込みとなる見通しだ。
以下のチャートは3月の雇用者数減を業界別、人口動態別に示している。
レジャー・接客業の雇用者数は45万9000人減と、全体の減少幅の65%を占めた。同部門としては月間で過去最大の減少幅で、実質的に過去2年間の増加分が失われたことになる。内訳ではレストランやバーが41万7000人減と大部分を占めた。
レジャー・接客業に次いで雇用が大きく減少したのは医療・教育部門で、約7万6000人減となった。歯科や診療所、保育所で減少が目立った。
一方、政府部門は1万8000人増加。2020年国勢調査のための臨時職員として1万7000人雇用したことを反映した。
3月の失業率は4.4%と、前月の3.5%から悪化した。0.9%ポイントの上昇は、1カ月の上昇幅としては1975年以来の大きさとなった。
失業率を人種別でみると、アジア系、ヒスパニック系でそれぞれ1.6%ポイント上昇し、全体の上昇幅(0.9%ポイント)を大きく上回った。白人とアフリカ系はいずれも0.9%ポイント上昇だった。ただ、アフリカ系の失業率は6.7%と、白人(4%)よりも65%高い。
年齢別では、若者の間で失業が目立ち、16─19歳の失業率は3.3%ポイント上昇して14.3%となった。20─24歳は2.3%ポイント上昇の8.7%となり、1953年以来の大幅上昇を記録した。
一方、25─34歳の失業率は4.1%で、0.4%ポイントの上昇にとどまった。45─54歳の失業率は0.7%ポイント上昇したが、それでも他の年齢層と比べて最も低い3.2%にとどまった。
教育水準別では、高校を卒業していない労働者の失業率が1.1%ポイント上昇の6.8%と、約3年ぶりの水準に悪化した。
一方、大卒者の失業率は0.6%ポイント上昇の2.5%にとどまった。それでも大卒者にとって月間の上昇幅としては1990年代初めの統計開始以来の大きさとなった。
性別では、男性の失業率が0.7%ポイント上昇、女性は0.9%ポイント上昇した。接客業や医療など打撃の大きかった部門で女性の労働者が比較的多い状況を反映している可能性がある。