上海当局が新型肺炎で融資支援、対象企業ユニリーバや3M=関係筋
[上海/北京 19日 ロイター] – 中国の上海当局が、新型コロナウイルス流行に伴う影響の緩和に向けた補助付き融資を受けるのに適格と判断した企業のリストをまとめ、この中に多国籍企業のユニリーバやスリーエム(3M)の現地法人が含まれていることが分かった。複数の銀行筋が明らかにしたほか、ロイターが文書を確認した。
それぞれ異なる銀行に所属する7人の銀行筋によると、上海市の一部銀行は、工業情報省と国家発展改革委員会の上海部門がまとめた企業リストを個別に受け取った。
ある銀行筋は「上海の全銀行は当局の信用を得ようと、リストに掲載された企業への融資を急ぐだろう」と指摘。リストには飲食店運営業者や不動産デベロッパーを含め194社が掲載されていたという。
複数の銀行筋によると、そのほかの銀行は簡略化されたリストを受け取ったという。
企業は全体のリストへの追加掲載を求めることができる。銀行筋によると、各銀行は今後、掲載企業に接触し、融資を提供するかどうかを個別に判断する。
工業情報省の上海部門がウェブサイトに掲載した通知によると、医療用品の製造会社や日用品を生産する「基幹企業」は特別融資を受けられる。
ある銀行が受け取ったリストをロイターが確認したところによると、ユニリーバと3Mの現地法人のほか、医療用品メーカーの上海康徳菜企業発展集団や上海透景生命科技が含まれていた。掲載企業が実際に資金を必要としているかどうかなどについてはリストでは触れられていない。
上海銀行はロイターに対し、リスト上の57社に55億元(7億8600万ドル)を融資すると明らかにした。これまでのところ、このうち4億3000万元が平均金利2.65%で実行された。補助付きのため、借り手が支払う金利は1.32%に過ぎないという。
ただ、事情に詳しい関係筋によると、リストに掲載された上海のあるマスク生産会社は、政府の補助を考慮すれば寧波銀行上海支店からの融資はゼロ金利になるという。
工業情報省と国家発展改革委員会からはコメントを得られなかった。
ユニリーバの広報担当者は、現時点で金融支援を申し込む予定はないと語った。
3M、上海康徳菜企業発展集団、上海透景生命科技からはコメントを得られなかった。
このほか、スイス製薬大手ロシュの現地法人もリストに掲載された。同社の広報担当者は「いかなる融資も申請しなかった」と述べた。