大手の戦略に変化? NRF2025で語られた海外小売のサステナビリティ戦略
トランプ政権に移行し、DEI(多様性・公平性・包括性)をはじめサステナビリティの取り組みが変化すると予測したのか、今回開催された「NRF2025:Retail’s Big Show(以下、NRF2025)」では、メインステージでのサステナビリティに関する講演はウォルマート(Walmart)、イケアUS(IKEA US)、ターゲット(Target)の3社のみだった。登壇した3社は、「サステナビリティ戦略ではビジネスモデルに新たな価値を生み出す」という点で意見が一致していたようだ。本稿では、セッションにおける3社の講演内容を紹介する。

ウォルマート
ベンダーと協働でイノベーション
ウォルマートのサステナビリティ戦略の歴史は古く、約20年にわたる。同社コーポレートサステナビリティ・ヘッドのジェローム・デルポルト氏は、「ウォルマートの社是である『Save Money. Live better.(節約してよりよく生活する)』と同様に、循環経済においても廃棄を削減し、生産性を上げコストを下げることがポイントだ」と語った。講演では、数多くの戦略から以下の3事例を紹介していた。
ウォルマート・リストアード
22年から汚れ・傷の少ないアパレル、スポーツ用品等の中古品をオンラインで販売。開始1年以内にセラー数1500以上、販売品目500万点以上に拡大している。
食品廃棄削減
全米最大の有機廃棄物リサイクル企業であるデナリ社と提携。米国内全店において、従来は店舗後方スペースで社員が行っていた残物やパッケージの分別をデナリ社が回収し、自動的に分別、飼料や燃料に変換している。
エコATM
古いモバイルフォンやデバイスを回収し、その場で自動的に査定・現金買い取りするキオスクを09年に導入し、現在約3000店舗に設置している。
循環経済の今後のポイントについて同氏は「ベンダーとのパートナーシップに基づくコラボレーションとイノベーション」と述べ、30年までにサプライチェーンから1ギガトンの温室効果ガスを削減する「プロジェクト・ギガトン」の目標を、計画よりも6年早い24年2月に達成したことを明らかにした。
イケアUS
循環可能な製品や仕組みを開発
一方、サステナビリティ先進国・スウェーデンの企業であるイケアUSは、自らイノベーションに取り組んでいる。
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