焦点:中国アリババ、欧州で出店募る 大手ブランドは二の足
[マドリード/杭州(中国) 8日 ロイター] – 欧州市場で肩慣らしを続けていた中国の電子商取引大手アリババ・グループが、ついに攻勢に出た。競合する米アマゾンに比べて手数料を引き下げ、地元ベンダーにプラットフォームを開放している。ただ、事情を直接知る関係筋6人によると成果はまだら模様だ。
アリババの欧州プラットフォーム「アリエクスプレス」には、ここ数カ月で小規模企業が雪崩を打って登録したが、大手ブランドは出店を控えている。
関係筋5人によると、アリババはMANGO(マンゴ)やベネトンといった有名ブランドにも出店を持ちかけたが、応じる企業は限定的だ。
アリエクスプレスでは、18ドル程度の人工皮革ミニスカートや14ドルのアクリル製セーターなどが売られており、自社製品にふさわしくないと考えるブランドもあるという。アリエクスプレスへの出店を断った大手ブランド企業幹部は、自社製品には「志の高い環境」が必要だと語った。
しかしアリエクスプレスの責任者Wang Mingqiang氏は杭州のアリババ本社でインタビューに答え、海外ブランドからプラットフォームへの理解を得るには時間がかかると指摘。各社はプラットフォーム内で独自のデザインの店舗を開き、思い通りの雰囲気を出すことが可能だと強調した。
アリエクスプレスはこれまで、安い中国製品を海外で販売することに集中してきた。しかしここ半年間は、中国で成功した「仮想モール」モデルを再現するため、海外で地元ベンダーへのプラットフォーム開放に力を入れ始めた。
また関係筋によると、スペインではベンダーの月額料金を免除し、商品が売れるたびに課す販売手数料の率を5―8%に設定した。
アマゾン広報によると同社の料金は売上税を含めて月額39ユーロで、販売手数料率は7―15%。宝飾品やアマゾン機器付属品など、一部商品の手数料率はもっと高い。
アリエクスプレスの広報は、スペインでは2019年に地元ベンダーにプラットフォームを開放して以来、数千の小規模企業が登録したと説明する。
アマゾンは18年時点でスペインの小規模企業8000社超が出店中としているが、アリエクスプレスのペースも順調なようだ。