「コロナ後」米消費に変調!店舗回帰も節約モード、ネットスーパーに陰りも意外な好調業
米経済が堅調を維持するなか、未曾有の新型コロナウイルス危機もひとまず去り、米小売業界は「コロナ後」を見据えたオンライン販売の強化などデジタルトランスフォーメーション(DX)に注力していた。しかしそこを襲ったのがインフレーションの急進だ。全体的な消費の勢いは物価高騰でも底堅いものの、弱さが見え始めた分野もある。米消費市場のリアルな状況を現地からレポートする。
8%台の“猛インフレ”も消費動向は堅調
世界的な潮流と同じく、米国でもインフレが猛威を振るっている。米労働省発表の3月の消費者物価指数(CPI)は、食品やエネルギー価格の急騰を受けて対前年同月比で8.5%上昇した。個人消費は米国内総生産(GDP)の約7割を占める経済のけん引役であり、物価上昇による消費の低迷が懸念されている。
しかし、米商務省発表の3月の小売業の総売上高は6657億ドル(約83兆円)と、3カ月連続で前の月を上回った。また、ミシガン大学発表の4月の消費者信頼感指数(速報値)は雇用の拡大や賃金見通しに対する楽観により予想外に上昇、3カ月ぶりの高水準となった。
このようにインフレ下でも消費は減速しておらず、小売業界にとってはマクロ的な視点での不安は少ないように見える。こうした背景には、消費者が値上げを受容する向きがあると考えられる。
たとえば、低所得層の利用が多いダラーストア大手の米ダラーツリー(DollarTree)では21年11月、創業来35年間続けた「1ドル路線」と決別し、基本価格を1ドル25セントに引き上げた。それにもかかわらず、11~1月の四半期売上高は対前年同期比で4 . 6 % 増加。ウォルマート(Walmart)においても、「ブランド離れや、より少量のパッケージに切り替える、あるいはぜいたく品の購入を控えるなどの行動は見られない」(ブレット・ビグズ最高財務責任者〈当時〉)という見方を示している。
だが、ミクロ面で詳細なデータを分析すると、全体の好調ぶりと矛盾するかたちで“黄信号”が灯り始めている商材も見られるようだ。カナダ金融大手のRBCキャピタルマーケッツのアナリスト、ニク・モディ氏は、「政府のコロナ対策給付金などを貯金した消費者の備蓄は底を尽きつつあり、消費の弱さが見えてきた分野がある。たとえば、低所得層はタバコ、ビール、エナジードリンクなどの嗜好品でブランド品から、より安い商品に乗り換え始めている」と分析している。
とはいえ、総合的には
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