コロナで産業崩壊 20年度百貨店業界決算ランキング!
以前から市場縮小の傾向が続いていた百貨店(DP)業態。そこに新型コロナウイルスがさらなる追い打ちをかけ、状況はより深刻となっている。政府からの休業要請やインバウンド需要の消滅により、売上が大幅に減少し、それに伴い20年度は多くの企業が赤字決算となった。そうしたなか、不動産事業へのシフトやEC事業の強化、オンラインとリアルを融合させた独自のテナント誘致など、各社は事業戦略やビジネスモデルの転換に動き出している。
コロナ禍で壊滅的打撃、各社はビジネスモデルの転換を迫られる
日本百貨店協会(東京都)によると、2020年の全国百貨店売上高は対前年比25.7%減の4兆2204億円で、1975年以来45年ぶりの低水準となった。商品カテゴリー別にみると、これまで売上高構成比でトップを占めていた衣料品の売上高が同31.1%減と落ち込み、食料品の売上高を下回っている。
DP売上上位5社はいずれも2ケタの減収で最終赤字となった。2020年4月の緊急事態宣言の発出に伴う休業や営業時間の短縮、長期にわたる外出自粛、インバウンド需要の消滅などがその要因だ。
売上高トップの三越伊勢丹ホールディングス(東京都)の21年3月期(連結)の営業収益は対前期比27.1%減の8160億円で、営業損失は209億円の赤字決算となった。傘下でDP事業を運営する三越伊勢丹(東京都)では、既存店売上高が同27.4%減と落ち込んでいる。
コロナ禍で消費者の生活様式や購買行動が一変するなか、三越伊勢丹は自宅にいながらオンラインで百貨店での購買体験を楽しめるサービスを拡充。20年度のEC売上高は300億円超と伸長した。
20年6月に刷新したECサイトでは、店舗での売れ筋商品を中心に10万品目を取り扱い、クリスマスケーキやおせち、福袋など、オケージョン需要に対応した商品も積極的に提案した。20年11月には、「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ」をリリースし、オンラインチャットやビデオ通話で、直接販売員から接客を受けられるサービスを試験的に開始している。また、定期購入型の食品宅配サービス「イセタンドア(ISETAN DOOR)」の会員数は20年4月以降の1年間で倍増し、21年4月時点で4万人に達した。
エイチ・ツー・オーはECの対応商品を拡充
エイチ・ツー・オーリテイリング(大阪府)の21年3月期の営業収益は
コロナ明暗上場小売業309 社の最新データを網羅、決算2021ランキング の新着記事
-
2021/06/30
スーパーとドラッグストアはコロナ特需反動でどうなる?トップアナリストが見通す21年度展望とは -
2021/06/30
スーパー、2020年度決算は絶好調、21年度格差急拡大の理由と見分け方 -
2021/06/30
コロナで危機的状況の外食業界決算ランキング!トップ10で唯一増収となったのは? -
2021/06/30
全小売業対象、時価総額トップ100社ランキング!上位3社だけで1年間で3.7兆円も増加! -
2021/06/29
上場専門店チェーン&EC74社の21年度経営成績を一挙公開! -
2021/06/29
コロナで産業崩壊 20年度百貨店業界決算ランキング!
この特集の一覧はこちら [15記事]
関連記事ランキング
- 2024-09-09日本の小売業1000社ランキング2024、総売上高は過去最高の81.9兆円!
- 2022-04-26コロナ、円安でもユニクロ過去最高益の秘密と、他のアパレルが絶対勝てない理由とは
- 2023-06-29多様化するギフト機会の中で、減少続く中元・歳暮の生きる道
- 2024-06-19インバウンドで最高益続出!日本人が知らない「百貨店の価値」とは
- 2024-09-12インバウンドで復活!百貨店売上ランキング2024 一人負けは?
- 2021-05-04大丸、三越伊勢丹…誰も語れない百貨店分析 政府の施策が百貨店を殺す「本質的理由」
- 2021-05-31デジタル×外商×富裕層 三越伊勢丹がめざす「特別な百貨店」に未来はあるのか
- 2021-06-18売らずにコト消費の場づくりへシフトするマルイの戦略とは フィンテックが収益の柱へ
- 2024-09-09【特別編集版】総売上2年連続増加!日本の小売業1000社ランキング2024
- 2021-06-2911社中7社が増収!明暗分かれた理由は?家電量販チェーン20年度決算ランキング!