丸井21年3月期第2四半期決算、小売はコロナで苦戦もフィンテック事業が好調で黒字を維持

若狭 靖代(ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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コロナ禍で苦戦する小売事業と、「売らない店舗」への取り組み

 上期の既存店の状況は、第1四半期の緊急事態宣言による休業に引き続き、7~8月の感染再拡大を受けて苦戦が続いている。外出控えなどの影響によって、郊外店よりも都心店で売上高が伸び悩んでいたが、10月に入ってからも都心店の売上高は対前年同期比で75%、郊外店では同94%と同様の傾向が続いている。今後の見通しについては、「予測が大変難しいが、(コロナ前の水準に戻るには)最低でも1年半~2年はかかるのではないかと見ている」と、同社副社長執行役員の佐藤元彦氏は語った。

 このような状況の中でアフターコロナの社会を見据え、上期は体験型店舗の拡大に注力した。従来のアパレル中心の店舗から、飲食やサービス、メーカーがユーザーに直接商品を販売するDtoCモデルの店舗など、体験価値を提供する店舗へのニーズが今後高まると同社はみている。

 6月、新宿マルイ本館にオープンした「mercari station(メルカリステーション)」は、フリーマーケットアプリ「mercari(メルカリ)」初のリアル店舗で、アプリの使い方教室や商品の発送・梱包ブース、サポートデスクなどを備えた体験型店舗だ。

 また、8月には同じく新宿マルイ本館に「b8ta(ベータ)」の日本初となる店舗をオープンした。ベータはサンフランシスコ発のRaaS(リテール・アズ・ア・サービス)型店舗で、商品を開発した企業から固定額の出品料を受け取って、店頭に商品を展示するというシステム。特徴は、直接商品を販売するためだけの店舗ではなく、体験してもらうための店舗だということにある。店内には豊富な商品知識を持ったスタッフも配置されているが、商品脇に設置されたタブレットでも一通りの情報を得ることができ、顧客が1人でゆっくり、時間をかけて商品を試す中で購入するかどうかを決めることができるようになっている。こういった「売らない店舗」の拡大によって、新たな小売のスタイルを追求する。

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