[東京 1日 ロイター] – 日銀が1日に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)は、大企業・製造業の最近の業況判断指数(DI)がマイナス8となり、前回の2019年12月調査から8ポイント悪化した。悪化は5四半期連続で、13年3月調査以来、7年ぶりの低水準となった。ロイターが集計した調査機関の事前予測マイナス10は上回った。
日銀・調査統計局の永幡崇経済統計課長は「新型コロナウイルス感染拡大による部品調達難や、国内外の需要減少を指摘する声が非常に幅広く聞かれた」と説明した。中堅企業・製造業の業況判断DIはマイナス8(前回比9ポイント悪化)、中小企業・製造業の業況判断DIはマイナス15(同6ポイント悪化)といずれも悪化した。
大企業・製造業で悪化が目立った業種としては、「繊維」がマイナス17(同20ポイント悪化)、「造船・重機等」がマイナス29(同22ポイント悪化)、「鉄鋼」がマイナス15(同13ポイント悪化)。繊維業では、暖冬による冬物衣料の販売不振を指摘する声も目立った。
大企業・製造業の先行きの業況判断DIはマイナス11と3ポイント悪化が見込まれている。
一方、大企業・非製造業の最近の業況判断DIはプラス8で前回から12ポイント悪化。3四半期連続の悪化で、13年3月調査以来の低水準となった。
業種別では「宿泊・飲食サービス」のDIが急低下。前回比70ポイント悪化のマイナス59と、04年3月に同項目が調査項目に入って以降、最低となった。日銀の永幡課長は「インバウンド需要や個人消費の減少の影響が非常に強く指摘された」と話した。
大企業・非製造業の先行きの業況判断DIはマイナス1で、9ポイントの悪化が見込まれている。
今回の短観の調査期間は2月25日から3月31日。回答基準日は3月11日で、この時点で約7割が回答した。