三菱食品、4期連続の過去最高益更新 三菱商事が完全子会社化に向けTOB実施のねらいとは
三菱商事が完全子会社化に向けTOB実施を発表
業績が好調に推移するなか、親会社の三菱商事は三菱食品の完全子会社化を目的とした普通株式のTOB実施を決議した。この決議は三菱食品の上場廃止を前提としており、三菱食品はこのTOBに賛同を表明した。公開買付価格は普通株式1株あたり6340円、買付予定数は2171万8995株で、公開買い付け期間は25年5月9日から6月19日まで(30営業日)となる。
TOBに至った理由は、地政学リスクの高まりや国内の人口減少に伴う市場の縮小など、食品卸を取り巻く事業環境の大きな変化に対応するためだ。完全子会社となることで、三菱商事やそのグループ会社の経営資源を活用し、スピード感のある経営を行うことが重要だと判断した。
京谷裕社長は「三菱商事の資源を生かせば、当社の経営計画であるMS Vision 2030を早期に実現できる」と期待感を示す。MS Vision 2030とは、30年度最終年度として24年度より同社が取り組む経営計画で、「デジタル活用」「新たな需要の獲得」「人的資本強化(人材育成)」の3軸を成長戦略に掲げている。
とくに潜在性のある成長領域として京谷裕社長が挙げたのは、海外市場への展開だ。すでに24年3月期にはオリジナル商品の輸出を拡大するほか、欧州への日本食材の輸入卸売事業への本格参入を果たした。
今後、海外市場への展開をはじめとして、成長戦略の実行に一層注力していきたい考えだ。




