ユニクロ柳井正会長が語る 企業のサステナビリティの本質とは

北沢 みさ (MK Commerce&Communication代表)
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「世界に出ていく」というのはどういうことか

 2019年1月にスウェーデンオリンピック委員会と、メインパートナー契約とオフィシャル・クロージング・パートナー契約を締結しました。そのとき、スウェーデンオリンピック委員会の方から最初に聞かれたのは「あなたの会社の規模はどのくらいですか」とか「収益はどうですか」ということではありませんでした。そこではまず、「あなたの会社は、サステナビリティ活動としてどのようなことをやっていますか」と聞かれたのです。

 この経験は、我々に大きな影響を与えました。「世界に出ていくというのは、そういうことなのか」とあらためて気づかされました。「地球環境も含めて、サステナビリティを重視している企業しか世界に出ていけないのだ」と改めて認識し、さらに一人ひとりの社員がそのような心がけに変わらないといけないのだと気づいたのです。

スウェーデンオリンピック委員会とパートナー契約を締結した際の経験が、その後のユニクロのサステナビリティ活動に大きな影響を与えたと柳井氏は振り返る

世界で最も必要とされる会社になる

 我々は、戦略とか戦術とか、そういうことをあまり考えていません。自分たちが一番大事にしているのは、「使命感」や「志」といったことです。

 実現できるかどうかわかりませんが、世界最高で最大の製造小売業、世界で最も必要とされる会社になりたいと思っています。世界最高の小売業とは、「お客様が欲しいものがいつもある」ということです。それが完璧な形で実現できている会社は、世界にまだありません。

 我々はそれを実現する世界で初めての会社になりたいと本気で思っています。そのために、我々は「グローバルワン 全員経営」という考え方を掲げています。

 会社を表すのは、経営者というよりも、お客様が日頃接している店舗や販売員の印象です。ですから、お客様と接するその人たちに、本当に生きがいを持ってやってもらうのが大事なのです。

 私たち企業家には、事業を通じて世界をより良い方向に変える力があります。そして事業を継続するためには、「社会全体が永遠に繁栄できる」ということが前提になっています。世界全体で持続可能な成長の仕組みを作るのは、企業家の責任でもあります。

「世界全体で持続可能な成長の仕組みを作ることが企業家の責任だ」と柳井氏は語る

 後編は明日9月19日に掲載。

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記事執筆者

北沢 みさ / MK Commerce&Communication代表

東京都出身、日本橋在住。早稲田大学第一文学部卒業。
メーカーのマーケティング担当、TV局のプロデューサーの経験を経て、
1999年大手SPA企業に入社しマーケティング・PRを12年、EC・WEBマーケティングを8年担当し、ブランドの急成長に寄与。
2018年に独立後は、30年に渡る実務経験を活かし、小売・アパレル業界を中心に複数企業のアドバイザーとして、マーケティングおよびEC業務を支援中。

 

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