プレナスが創業家によるTOBで上場廃止へ! 今後の上場オーナー企業の在り方を考察

棚橋 慶次
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上場廃止のメリットは

 プレナスとて安心はできない。“お荷物”だった「ほっともっと」の大規模整理を2019~2020年にかけて実施し、多額の減損損失を計上しながらも営業損失を解消したものの、今度は「やよい軒」が苦しくなっている。2022年2月期のやよい軒事業の売上高は何とか前期を上回ったものの、コロナ禍前にはとても届かない。

 フランチャイズへのシフトが見込めない中では、やよい軒の直営店舗を退店するしかない。プレナスの自己資本比率は6割強で、有利子負債比率もわずか3%にとどまる。財務基盤はきわめて強く、退店にも充分耐えられるが、一時的な業績悪化は避けられず、株主から経営責任を問われる可能性もぬぐい切れない。

 だからこそMBOに踏み切り、株主からの声を遮断して、長期目線で大胆な経営改革に注力しようというわけだ。

 経営権の強化以外にも、上場廃止のメリットはある。区分によって異なるが、上場会社を維持するためには流通株式数や株主数、流通株式時価総額金額などさまざまな基準をクリアしなければならない。決算開示を通じた株主・投資家との対話も求められる。
このように上場廃止は、上場企業に求められるわずらわしさから解放されるというメリットもあるのだ。

上場廃止にはデメリットも……

もちろん、上場廃止にはデメリットもある。懸念されるのが、株主からのチェック不全、そして経営者の暴走だ。上場企業の場合、経営陣は内部監査を通じたガバナンス(企業統治)をクリアしなければならないが、非上場企業にはそうした義務がない。

株式市場からの資金調達ができなくなるのもネックだ。ファンドの支援を受けているのであれば資金面での不安はないが、プレナスの場合は塩井興産単独でのMBOであるようだ。仮に将来、大きな資金需要が生じたときは、何かしらの手を打たなければならない。

プレナスは2023年1月に開催される臨時株主総会を経て、正式に上場廃止となる見通しだ。MBO後、同社は安定した経営を続けることができるのか。国内に数多く存在するオーナー企業の今後の占うという意味でも、今後の動向を注視したいところだ。

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