「勝ち筋が見えてきた」 新経営体制でイトーヨーカ堂復活の兆し?

取材・文:小笠原 玲 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

ヨーク・ホールディングス(東京都/石橋誠一郎社長:以下、ヨークHD)が9月3日、戦略説明会を開催した。9月1日付で米投資ファンドのベインキャピタル傘下に入り、新たなスタートを切った同社。

新戦略の焦点となるのは、長年収益の確保に苦戦してきたイトーヨーカ堂(東京都/山本哲也社長)の再建だ。早期のIPO(新規株式公開)実現をめざすヨークHDは、どのような成長軌道を描こうとしているのか。

食品スーパー領域で競争力を強化

 ヨークHDは9月3日、新体制のもとでの新たな経営戦略を発表した。同社の石橋誠一郎社長は「消費頻度が高く、日常利用される食品スーパー(SM)領域での差別化が重要」と話し、SM事業を強化していく方針を掲げた。

 その柱となるのが、グループ最大の事業会社であるイトーヨーカ堂の事業構造の見直しだ。同社は総合スーパー(GMS)として、これまでフード&ドラッグ事業のほか、専門店事業やテナント管理事業を手がけてきたが、27年度以降はフード&ドラッグ事業に経営資源を集中させる。

イトーヨーカ堂の山本哲也社長(左)、ヨークHDの石橋誠一郎社長(中央)、ベインキャピタル・ジャパンの西直史氏(右)
イトーヨーカ堂の山本哲也社長(左)、ヨークHDの石橋誠一郎社長(中央)、ベインキャピタル・ジャパンの西直史氏(右)

 一方、そのほかの専門店事業やテナント管理事業は、

この記事でわかることは

  • 消費頻度の高い食品スーパー事業に経営資源を集中し、イトーヨーカ堂の総合スーパー事業から転換を図っている。

  • 「上質」「地域」「デリカ」をキーワードに商品を見直し、セントラルキッチンを稼働させるなど、食の強化を進めている。

  • 経営体制の刷新を機に、グループ会社間の連携を強化し、ITコスト削減やプライベート商品の共同開発など様々な改革を進めている。

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取材・文

小笠原 玲 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

早稲田大学文学部(ドイツ哲学専攻)を卒業後、教育系の編集プロダクションで国語の入試問題の制作を担当。2024年、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。

休日の大半を台所で過ごすほど、無類の料理好き。得意な料理は、出汁巻き卵と切り干し大根の煮物。料理研究家の土井善晴氏を尊敬している。

趣味は、ミニシアターで映画をみること。音の大きな映画が苦手で、日常を切り取ったような変哲のない映画やドキュメンタリー映画を好む。見た作品のリーフレットを持ち帰り、コレクションしている。

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