円安修正で国内成長力に再注目!良品計画に広がるチャンスと課題とは

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良品計画の国内出店拡大戦略ににじむ根本的な課題

「無印良品 前橋中央通り商店街」店の店舗イメージ
実際に筆者が地方の無印良品店舗を訪れて「考えを改めた」出来事とは!?

 良品計画は2021年7月に、2022年8月期から2024年8月期にわたる中期経営計画を示しました。国内外双方で出店を進める方針のもと、2021年8月期末の店舗数1,002(国内456、海外546)を2024年8月末に1,300店にすると述べていました。ちなみに2024年6月末、国内店舗数623、海外675、合計1,298店舗になり、ほぼ計画通りに推移しています。

 さて、同社はこの中期経営計画の開始にあたって、第2の創業期に入ると宣言し、「感じ良い暮らしと社会」の実現に貢献することを目標に内外で事業を伸ばすことを志します。筆者としてはこの基本方針は同社らしさが体現されていてポジティブにとらえています。

 成長を進める上で、国内出店は海外出店と同等以上の重要性を担うことになりました。600〜800坪の標準店を有力な食品スーパーに隣接して展開する、2000〜3000坪の「生活全部店」も漸次展開する、地域密着のため個店経営を進める、この結果、全国津々浦々に店舗網を構築する目論みです。

 ちなみに、筆者はこの国内店舗網の拡大はチャレンジングだと感じていました。

 大雑把な議論ではありますが、小売企業の国内店舗数のひとつの目安は1000店舗だと思っています。したがって計画当初500店に満たない店舗数を増やしていくことは理にかなっているように思われます。

 しかし、無印良品の各カテゴリー(衣服、生活家具・雑貨、食品など)には全国展開を完了した有力なカテゴリーキラーがひしめいています。しかも大都市圏以外は自動車社会でロードサイド店舗へ思いのままに出かけることができるため、無印良品を選ぶ積極的な理由を相当効果的にアピールしなければならないと考えました。

これに対する同社のひとつの回答が「地域密着」ですが、これはそれまでの同社の競争力の源泉であった「マニュアル経営」と親和性が低い施策に見えてしまいます。

 店舗網の拡大と地域密着がタイムリーに相乗効果を発揮して、規模拡大と投資採算を程よく両立できるのか、注目していました。

良品計画の地方店舗に訪れて驚いたこと!

  筆者は定期的に大都市圏を離れる出張の機会があります。そこで最近は日帰りせずに一泊して、宿泊地の周辺を見学してから帰宅するようにしています。このなかで、最近同社の店舗をいくつか巡る機会があり、来店するお客さんの動きを眺めてみました。その結果、自分の考えを改めるべき、すなわち国内展開のポテンシャルについてもっと積極的に評価すべきではないかと考え直しています。

 端的にこれを表現すると、ブランドを体現する商品の「ストーリー性」、どんな暮らしやシーンにもフィットする商品との高い親和性、生活に必須な商品カテゴリーの網羅性、品質の信頼性、価格の合理性、ワンストップショッピングで必要なものが揃う「タイパ」(タイムパフォーマンス)の良さがうまくミックスしており、同社の店舗が全国津々浦々に浸透することが多いにありうるということになります。

 大都市圏であろうが、郊外であろうが、「ストーリー性」と「タイパ」は重要です。ここがしっかりしていれば、必ずしも全ての商品が最安値である必要はありません。

 先ほど述べたように、国内の出店は中期経営計画に沿って順調に増えています。売上高もこれに伴って伸びてきていますので、現経営陣は正しい方向に向かっていると思います。自分の不明を恥じるばかりです。

 しかし、業績をみると大きな「課題」も残っています。

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記事執筆者

都市銀行で証券運用・融資に従事したのち、米系資産運用会社の調査部で日本企業の投資調査を行う(担当業界は中小型株全般、ヘルスケア、保険、通信、インターネットなど)。

米系証券会社のリスク管理部門(株式・クレジット等)を経て、独立系投資調査会社に所属し小売セクターを中心にアナリスト業務に携わっていた。シカゴ大学MBA、CFA日本証券アナリスト協会検定会員。マサチューセッツ州立大学MBA講師

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