アインHD、フランフラン買収で変わる?株主総会の争点とは
7月3日、アインHDがフランフラン買収を発表
アインホールディングス(以下、アインHD)は2024年7月3日にFrancfranc(以下、フランフラン)を買収すると発表しました。筆者にはとても興味深いM&A(合併・買収)です。
まず、この買収で効果がでると言われる「アインズ&トルぺ」と「Francfranc」の相乗効果、具体的にはどのような新業態が確立され、どのような商品が開発されるのか、期待が高まります。
しかし、これだけではありません。アインHDの経営陣はアクティビストの眼前で絶妙な対策を打ったように思います。
第55回定時株主総会における株主提案
今回の買収を考える上で、来る7月30日に予定されるアインHDの定時株主総会で株主から提出された議案を見ておく必要があります。具体的には
- 取締役2名の解任(ただし今回の総会をもって任期満了になるため実効性は乏しい)
- 取締役4名の選任
- 社外取締役の個人別の固定報酬額決定
- 社外取締役に対する譲渡制限付株式付与のための報酬決定の件
提案者であるオアシス・マネジメント・カンパニー(以下、オアシス)の意見によれば、KKR札幌医療センターが発注した敷地内薬局の整備事業に関して、公契約関係競売入札妨害容疑でアインHD子会社の取締役2名が逮捕され(2023年8月31日)第一審で有罪判決を受けたこと(2024年4月18日)、およびアインHDの株価パフォーマンスが長期的に見劣りすることを念頭に、取締役会の機能を抜本強化することが、株主提案の主たる直接的な狙いです。
ここで確認したいことは、オアシス側が業績および株価に改善余地があると考えていること、喫緊の課題はガバナンス機能の強化だと考えていること、とはいえこの提案に滲むオアシスのアプローチは今年の株主総会で提示されたさまざまな株主提案と比較して漸進的・穏健な提案であること、となります。
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