従業員を”資産”に、成長続けるベストバイの経営戦略とは

解説・文:小野寺 智史(ローランド・ベルガープリンシパル)、松本 渉(ローランド・ベルガー パートナー)
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店舗販売を軸に復調を遂げる

 コロナ禍を通じてEC化がより進展した米国の小売業界において、店舗販売を軸にしながら成長を続け、新たな施策を打ち続けているのが、家電量販最大手のベストバイ(Best Buy)である。同社は顧客の「安く買いたい」「早く欲しい」「ストレスなく製品・サービスを使いたい」という欲求に対して、ECサイトを対象に含めた最低価格保証、自社EC商品の店舗受け取り、24時間365日のサポートなどのサービスを導入。2010年前後の不振時からは見違えるほどの業績伸長を成し遂げてきた。

ベストバイの外観
店舗販売を軸にしながら成長を続け、新たな施策を打ち続けている家電量販最大手のベストバイ(Best Buy)(i-stock/J. Michael Jones)

 これらの施策を進めるにあたり、核となってきたのが従業員の充実した専門知識とそれを用いて親身に顧客の相談に乗る姿勢である。従業員は顧客が商品を比較検討する際に相談を受け、丁寧で的確なアドバイスをすることで、店舗での購買体験を強固なものにし、ファンを増やしてきた。この強みを生かし、ベストバイは店舗内で従業員がその場で対応する修理サービスや、スタッフがデジタル機器を含めてサポートを行う在宅ヘルスケア事業などにも進出している。

従業員教育への投資を強化

 そもそも、ベストバイがどのように「従業員」の存在そのものを強みにできたのか、経緯を振り返っておこう。

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