「リテールメディア」とはなにか?なぜ今注目されているのか?2023年最新事例解説
食品小売でもリテールメディアが続々登場
総合デジタルマーケティングを手がけるCARTA HOLDINGSの調べによれば、2022年の国内リテールメディア広告の市場規模は135億円で、2023年は245億円に拡大、2026年には800億円を突破すると予測している。リテールメディアが物販に次ぐ小売業の新たな収益源になる、というのも信ぴょう性を帯びてきた。
ここからは国内小売のリテールメディアの事例について見ていこう。コンビニ大手のファミリーマート(東京都)では、店舗にデジタルサイネージ「FamilyMartVision」を設置して広告映像を配信する“店舗のメディア化”を推進している。全国約1万6000店舗のうち、昨年までに3000店舗に「FamilyMartVision」の設置を完了、商品・サービスの広告やエンタメ情報などの映像コンテンツを配信中だ。2024年2月期中に、「FamilyMartVision」設置店舗を1万店に拡大するとしており、広告ビジネスのさらなる拡大が期待される。
ディスカウントストア大手のトライアルカンパニー(福岡県)も店舗のメディア化を推し進めている。同社は現在、最新技術を結集した「スマートストア」の展開に力を入れており、店内に設置したデジタルサイネージやスマートショッピングカートでの広告配信を行っている。
同社では、リテールメディアの展開にあたり、グループ企業と広告代理店大手の電通とで合弁会社Sales Plus(東京都)を設立している。ユニークなのは、このSales Plusが映像制作のスキルを持ったクリエイティブ部隊を抱え、サイネージで配信する映像コンテンツの制作を内製化している点だ。21年からは、社外へ配信する映像の制作ソリューションも提供するなど、ビジネスの幅を広げている。
他方、イオン(千葉県)グループで食品スーパーを展開するマックスバリュ西日本(広島県)は、流通小売向けのリテールメディアの開発・運用を手がけるアドインテ(京都府)と業務提携を結び、デジタル広告と融合した購買データ連動型広告「マックスバリュ西日本 Ads 」の構築・運用をスタートした。マックスバリュ西日本が持つPOS、ID-POSなどのデータと、アドインテが提供する高精度ビーコンで得た匿名行動データなどを組み合わせ、来店客の購買傾向に基づいたデジタル広告をアプリ上などで配信していくという。