凄腕の専門家が教える、いま店舗賃料を最適化する局面である理由

森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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さまざまなコストが高騰し、食品スーパー(SM)はじめチェーンストアの経営を圧迫している。消費の先行きは依然として不透明、さらに売価への転嫁も限りがあり、どの企業も頭を悩ませている。この中、固定費削減のため、一部で起きているのが店舗の賃料を見直す動きである。交渉の専門業者への依頼も増えており、今後、注目度が高まりそうだ。

経営取り巻く環境が悪化

 光熱費、人件費、物流費などさまざまなコストが高騰している。各社とも業務改善に取り組むほか、店舗の効率運営を工夫するなど対策を講じる。値上げにも踏み切ってはいるが、すべてを吸収するまでには至らず、経営を圧迫する要因となっている。

 厳しい経営環境下にあって、企業の中には、“あるコスト”を見直す動きが見られる。固定費の1つで、チェーンストア企業であれば多くの企業が払っている費用。それは店舗の賃料だ。

ギブ・スパイラル・ジャパン鷹尾豪社長
ギブ・スパイラル・ジャパン鷹尾豪社長

 「まだ少数派ではあるが、大手企業の一部は、賃料適正化に向け動き始めている」。こう教えてくれたのはギブ・スパイラル・ジャパン(大阪府)の鷹尾豪社長だ。同社は賃料やM&A(合併・買収)交渉のほか、「賃貸借ビッグデータ提供によるアドバイザリー事業」「不動産マッチング業務」を手掛ける企業である。

 バブル経済の崩壊後、国内の賃料水準は総じて下降傾向にある。さらにコロナ禍を経て、物件を貸す側、つまり貸主を取り巻く環境も大きく変化している。そうした状況にあり、賃料交渉を事業とする企業も増加傾向にある中、売上高で業界3位の位置につけ急成長しているのがギブ・スパイラル・ジャパン。独自のノウハウを構築、新たな顧客からの依頼も増えている。

 本稿では、多くのチェーンストア企業にとって大きな関心事と思われる賃料低減について、その現状を述べたい。

今、下げられる唯一のコスト

 あらためて昨今の賃料に関連する動きを整理する。

 前述のとおり、賃料は下降傾向にあるが、それを誘発する要因は

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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