遊戯施設運営の「イオンファンタジー」が業績復活 高まる「推し活」熱が追い風に
粗利益率の高いカプセルトイ事業も好調
コロナ禍でイオンファンタジーが出店を強化しているのが、「TOYS SPOT PALO」というカプセルトイを豊富に揃える専門店だ。コロナ禍以前のTOYS SPOT PALOの売上高は、イオンファンタジー全体の約2%しかなかったが、現在は倍以上に増えている。コロナ禍で1つの場所に長時間滞在することが敬遠されるなか、同社が展開する他の屋号の店と比べて滞在時間が短くて済むことからTOYS SPOT PALOはお客にとって足を運びやすいようだ。
さらに圓藤氏は、「プライズと同じく、『推し活』の盛り上がりの影響が大きい。TOYS SPOT PALO は200~300台のカプセルトイマシンを設置しており、豊富な作品をカバーしている。アイドルやアニメのキャラのガチャを、“出るまで回す”というお客さまが多い」と好調の要因を述べる。
狭い売場面積でも出店できる点もコロナ禍で追い風になった。モーリーファンタジーなどは約200坪のスペースが必要になるが、TOYS SPOT PALO は20坪あれば出店可能だ。コロナ禍で20坪程度の雑貨店やアパレル店の撤退が相次いでおり、TOYS SPOT PALOが出店可能なテナントスペースを確保しやすくなっている。
TOYS SPOT PALO1店舗当たりの売上高はモーリーファンタジーの4分の1程度とのことだが、利益率はTOYS SPOT PALOのほうが高い。固定費がほかの業態と比べて低いためだ。カプセルトイマシンはメーカーが用意するため、メンテナンス代がかからない。人件費もほとんど不要だ。主な固定費は家賃や両替機の電気代のみになる。
好調のカプセルトイと主力のプライズ以外に、今後はメダルゲームの売上を伸ばしたいと圓藤氏は話す。
「コロナ禍で売上が半減してしまったメダルゲームを早期に回復させたい。コロナ禍以降はメダルゲームを撤退する傾向にあったが、直近ではお客さまが戻りつつあり、今後さらに需要が回復すると見込んでいる。それに備えて、施設内にメダルゲームを置くスペースを確保するようにしている」(圓藤氏)
最後に、圓藤氏は「当社は“100円玉ビジネス”なので、増税に影響を受けやすい。少子化の問題もある」と嘆くが、「シビアな環境だが、競争を勝ち残り残存者利益を追っていきたい」と前向きな姿勢を見せる。