コロナ禍で変わる、外食における飲酒のリアル 減った外食店での飲酒機会に潜在需要あり!?
5割近くがコロナ禍では
「飲みに誘うべきでない」
本調査では、「夕方以降の飲酒を伴う外食」についての状況や考え方についても聞いた。
「あてはまる」と回答された上位3回答は、順に下記のとおりだった。
「コロナ禍で人を飲みに誘うべきでないと思う」(48.1%)
「お店が時短営業・休業していて、そもそもお店に行ける機会が減った」(41.2%)
「コロナ禍で人から飲みに誘われる機会が減った」(38.2%)
コロナ禍での「誘わない・誘われない」ことへの影響の大きさが伺える結果である。
飲酒者の回答の中で「お店で酒類が提供されなくなったことの影響を受けた」が24.8%だったことから、酒類の提供の有無より消費者側の意識・行動の変化の方が、外食での飲酒機会の減少の背景にあると考えられそうだ。
非飲酒者の回答では、飲酒者に比べて全体的に「あてはまる」の割合の少ない選択肢が多かった。そうしたなかで「家族や同居人に感染を広げるリスクが心配である」(27.4%)や「自分が飲みたいと思わない時に無理に飲まなくてもよい社会風潮になった」(16.9%)が、比較的割合が多くなっている。
「おつまみ」としての
中食の可能性広がる
本調査のスコープ外のため、はっきりしたことは言えないものの、ここまで外食における飲酒機会が減っているということは、その一部は間違いなく「家飲み」に移行しているはずだ。中食提供事業者にとっては、「家飲み」の増加は間違いなく商機である。小売店においても、お酒の品揃えの充実はもちろんのこと、「おつまみ」としての中食の需要増を意味する。
「家飲み」では、飲酒者と非飲酒者がともに食卓を囲い、そのうち飲酒者は晩酌しながら夕食をとるシーンが想定される。このように飲む人・飲まない人が混在する環境では自炊の手間がいっそう増すことが考えられ、中食を利用するシーンがますます増えそうだ。飲む人も飲まない人も楽しめるような家族の団らんに、中食が果たすべき役割は大きい。
調査概要:インターネット調査、
調査期間:2021年6月1日~2021年6月10日、
有効回答数:9851人(首都圏、関西圏、東海圏の合計)。平成30年人口推計に基づいて性別・
年代・地域の250区分でウエィトバックを実施)
【執筆者】
稲垣昌宏(リクルート『ホットペッパーグルメ外食総研』上席研究員)
エイビーロード編集長、AB-ROAD.net編集長、エイビーロード・リサーチ・センター・センター長などを歴任し、2013年ホットペッパーグルメリサーチセンター・センター長に就任。市場調査などをベースに消費者動向から外食市場の動向を分析・予測する一方、観光に関する調査・研究、地域振興機関である「じゃらんリサーチセンター」研究員も兼務し、「食」と「観光」をテーマに各種委員会活動や地方創生に関わる活動も行っている。肉より魚を好む、自称「魚食系男子」
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