【熊谷エリア8店舗調査!】ベルクの牙城で見えた、ヤオコーを抑える“執念”とは
埼玉県を主な商勢圏とするベルク(埼玉県/原島一誠社長)のなかでも強固なドミナントを形成しているのが熊谷エリアだ。その存在から埼玉県の雄ヤオコー(埼玉県)であってもここでは勢力を拡大できずにいる。同エリアでのベルクの店づくりや競合店への対応を調査することで、同社の強さに迫った。(調査日2021年7月17~19日)
県内最多の店舗数「エイヴイ」進出で競争激化
現在ベルクは首都圏1都6県に123店(2021年2月末)を有し、その約6割の77店を本社のある埼玉県で展開する。同県のなかでも最も店数が多いのが熊谷市で、現在8店を営業している。熊谷市は埼玉県北部に位置し人口は約19万人。北部地区の交通の要として発展した街だ。立地特性からとくに夏場に気温が上がりやすく「日本一暑い街」としても知られる。
ベルクの本社は、15年2月に埼玉県中部の鶴ヶ島市に移転したが、それ以前は熊谷市に隣接する寄居町にあった。また店舗拡大初期には日配や生鮮、グロサリーのセンターを熊谷市に整備し(その後1999年に3センターを統合して寄居町に物流センターを開設)、その周辺でドミナントを強化していった背景もあって、熊谷市はベルクの“お膝元”ともいえるエリアである。
埼玉県で展開する食品スーパー(SM)を語るうえで欠かせないのがヤオコーの存在だ。同社の2021年3月末の店舗数は181店で、埼玉県ではその約5割の92店を展開し県内のほとんどのエリアをカバーしている。そうしたなか熊谷市の店舗数は3店のみで、人口から考えると少ない。ベルクの強固なドミナントの前にその牙城を崩すことができていないようだ。
しかし21年2月、熊谷市内にベルクにとって強敵となるSM「スーパーマーケットARAI」がオープンした。同店は食品機械メーカーの新井機械製作所(埼玉県)が、ヤオコーのグループ会社であるエイヴイ(神奈川県)の業務支援を受けて開業した店で、実質的にはエイヴイの埼玉県内1号店である。同店の存在はベルクに刺激を与えているようで、熊谷市ナンバーワンチェーンの座を巡り、ベルク、ヤオコーとも競争をいっそう激化させている。
今回、ベルクの熊谷市内8店を全店調査し、その全体的な印象と、なかでも特徴的だった店舗の店づくりから、ベルクの戦い方を分析した。
全体印象
不振店がほとんどない 現場力で競合店に対抗
筆者はこれまで、多くのベルクの店舗を調査してきたが不振店にお目にかかったことはほとんどない。同社は過去に閉店した店もたった
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