オーケー代表取締役社長 二宮 涼太郎
「高品質・EDLP」を追求する 東京都23区内への出店をさらに加速!
首都圏でディスカウント型食品スーパー(SM)を展開するオーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)。「高品質・Everyday Low Price(エブリデイ・ロープライス:以下、EDLP)」を強みに、東京都23区内への出店を強化している。今後の成長戦略をどう描いているのか、二宮社長に聞いた。
既存店売上高1.6%増で推移
──2018年3月期も終盤を迎えています。今期をどのように振り返りますか。
二宮 18年3月期上期(17年4~9月)は、売上高が対前年同期比7.4%増、既存店売上高が同1.6%増、既存店客数伸長率が1.8%増で推移しました。しかし上期は想定よりも業績が伸びない印象でした。下期のほうがこれまでの取り組みの成果が徐々に業績に反映されてきたと感じています。とくに売上に貢献しているのがグロサリーです。あらゆるカテゴリーで品揃えの見直しを進めた効果が現れています。
──18年3月期は新しい取り組みとして、買物代行サービス「お友達宅配」を開始しました。「オーケークラブ」の会員同士で買物代行の依頼、受託を行うというユニークな仕組みが注目を集めました。
二宮 本サービスは17年6月から、本社2階の「みなとみらい店」(神奈川県横浜市)をはじめ9店舗で開始しました。専用アプリを通じて、依頼者は買物に行く会員についでに自身の買物を頼むことができます。そして受託者は依頼者の自宅まで商品を届け、レシートと引き換えに購入金額とその10%を手数料(購入金額が税込3000円未満の場合は一律同300円)として受け取るという仕組みです。
同サービスは6年ほど前から、当時社長を務めていた現会長の飯田(勧)が構想していたものです。拡大を続ける宅配ニーズに宅配業界の現場が追いつかないという社会問題が表面化するなか、消費者の新しい選択肢の1つになればと開始しました。また、高齢者の買物をサポートし、希薄になりつつある地域コミュニティを深める一助になればと考えています。現在サービスの導入店舗は47店まで拡大し、アプリの登録者や利用者も徐々に広がっています。
本鮪でマイナス50℃のコールドチェーンを実現
──「高品質・EDLP」を追求する商品開発も進めています。
二宮 オーケーが掲げる「高品質・EDLP」は、単に価格を下げるのではなく、価値と価格のバランスによる割安感を追求しています。たとえば百貨店で扱っている高品質な商品を当社ではより低価格で購入できるといった価値を提供します。
17年12月には新商品として「-50℃超低温流通本鮪」の赤身と中トロを発売しました。同商品は、漁船で鮮魚を冷凍してから、配送、店頭での保管まで、一貫してマイナス50℃の状態で商品を保存するコールドチェーンを構築し、鮮度が高く専門店のような味の商品を、低価格で提供することを実現しました。店頭での解凍作業にもこだわり、専門家から意見をもらい、お客さまの食卓に上る際に最もおいしい状態になる最良のタイミングと解凍方法で商品を提供しています。すでに年末年始には多くのお客さまの支持を得ることができました。現在取り扱っているのは24店のみですが、大型店を中心に順次店舗を広げる計画です。
プライベートブランド(PB)商品の開発も進めています。代表例の1つが、18年1月から販売を開始したスコッチウイスキー「グレンファークラス」のオーケー限定ラベル(700㎖・税抜2780円)です。12年熟成のグレンファークラスと言えば、一流ホテルで提供されるような高品質商品です。オーケー限定商品は、熟成期間が8年と少し短いですが割安感を感じてもらえる価格で提供しています。こうした「高品質・EDLP」を訴求できる商品を各カテゴリーでつくっていきたいと考えています。