オーケー代表取締役社長 二宮 涼太郎
「高品質・EDLP」を追求する  東京都23区内への出店をさらに加速!

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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首都圏でディスカウント型食品スーパー(SM)を展開するオーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)。「高品質・Everyday Low Price(エブリデイ・ロープライス:以下、EDLP)」を強みに、東京都23区内への出店を強化している。今後の成長戦略をどう描いているのか、二宮社長に聞いた。

既存店売上高1.6%増で推移

──2018年3月期も終盤を迎えています。今期をどのように振り返りますか。

にのみやりょうたろう
にのみや・りょうたろう●1974年生まれ。神奈川県出身。97年東京大学文学部卒業、三菱商事入社。2008年11月Mitsubishi Cement Corporation/ MCC Development出向(米国)。13年4月三菱商事リスクマネジメント部。15年6月オーケーへ出向、経営企画室長。16年1月執行役員 30%成長戦略室長兼店舗開発本部長。16年5月三菱商事退社。16年6月から現職

二宮 18年3月期上期(17年4~9月)は、売上高が対前年同期比7.4%増、既存店売上高が同1.6%増、既存店客数伸長率が1.8%増で推移しました。しかし上期は想定よりも業績が伸びない印象でした。下期のほうがこれまでの取り組みの成果が徐々に業績に反映されてきたと感じています。とくに売上に貢献しているのがグロサリーです。あらゆるカテゴリーで品揃えの見直しを進めた効果が現れています。

──18年3月期は新しい取り組みとして、買物代行サービス「お友達宅配」を開始しました。「オーケークラブ」の会員同士で買物代行の依頼、受託を行うというユニークな仕組みが注目を集めました。

二宮 本サービスは17年6月から、本社2階の「みなとみらい店」(神奈川県横浜市)をはじめ9店舗で開始しました。専用アプリを通じて、依頼者は買物に行く会員についでに自身の買物を頼むことができます。そして受託者は依頼者の自宅まで商品を届け、レシートと引き換えに購入金額とその10%を手数料(購入金額が税込3000円未満の場合は一律同300円)として受け取るという仕組みです。

 同サービスは6年ほど前から、当時社長を務めていた現会長の飯田(勧)が構想していたものです。拡大を続ける宅配ニーズに宅配業界の現場が追いつかないという社会問題が表面化するなか、消費者の新しい選択肢の1つになればと開始しました。また、高齢者の買物をサポートし、希薄になりつつある地域コミュニティを深める一助になればと考えています。現在サービスの導入店舗は47店まで拡大し、アプリの登録者や利用者も徐々に広がっています。

本鮪でマイナス50℃のコールドチェーンを実現

──「高品質・EDLP」を追求する商品開発も進めています。

マグロ
17年12月から販売する「-50℃超低温流通本鮪」。一貫してマイナス50℃の状態で商品を運ぶコールドチェーンを構築し、高い鮮度と低価格を実現している

二宮 オーケーが掲げる「高品質・EDLP」は、単に価格を下げるのではなく、価値と価格のバランスによる割安感を追求しています。たとえば百貨店で扱っている高品質な商品を当社ではより低価格で購入できるといった価値を提供します。

 17年12月には新商品として「-50℃超低温流通本鮪」の赤身と中トロを発売しました。同商品は、漁船で鮮魚を冷凍してから、配送、店頭での保管まで、一貫してマイナス50℃の状態で商品を保存するコールドチェーンを構築し、鮮度が高く専門店のような味の商品を、低価格で提供することを実現しました。店頭での解凍作業にもこだわり、専門家から意見をもらい、お客さまの食卓に上る際に最もおいしい状態になる最良のタイミングと解凍方法で商品を提供しています。すでに年末年始には多くのお客さまの支持を得ることができました。現在取り扱っているのは24店のみですが、大型店を中心に順次店舗を広げる計画です。

ワイン
18年1月から販売を開始したスコッチウイスキー「グレンファークラス」のオーケー限定ラベル

 プライベートブランド(PB)商品の開発も進めています。代表例の1つが、18年1月から販売を開始したスコッチウイスキー「グレンファークラス」のオーケー限定ラベル(700㎖・税抜2780円)です。12年熟成のグレンファークラスと言えば、一流ホテルで提供されるような高品質商品です。オーケー限定商品は、熟成期間が8年と少し短いですが割安感を感じてもらえる価格で提供しています。こうした「高品質・EDLP」を訴求できる商品を各カテゴリーでつくっていきたいと考えています。

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聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

構成

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。

最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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