売上高2000億円、営業利益率5%へ 地場SMになりきる=マルナカ平尾 健一社長
香川県に本部を置き、四国を中心に店舗を展開するマルナカ。近年、商勢圏では有力食品スーパー(SM)が増える一方、食品も扱うドラッグストア(DgS)をはじめとした異業態も勢力を拡大し、競争が激化している。そのなかでいかに差別化を図り、成長につなげようとしているのか。
平尾健一社長に聞いた。
地域ニーズに細かく応え客単価・買上点数のアップへ
──2016年5月に社長に就任されました。
平尾 1984年、ジャスコ(現イオン)に入社し、分社化する前のマックスバリュでは近畿四国事業部長を務めました。その後、マイカルカンテボーレ(現イオンベーカリー)社長、イオンタイランド社長などを経て、現職の直前は1年間、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスで代表取締役を務めておりました。
──競合企業としてのマルナカをどのように見ていましたか。
平尾 マックスバリュ近畿四国事業部長のときには、四国エリアを視察する機会がたびたびありました。マルナカは青果商として創業しているため、青果を中心として、生鮮食品が強いSM企業という印象を持っていました。
──あらためて競争環境についての認識を教えてください。
平尾 当社は現在、香川県のほか、徳島・愛媛・高知の四国4県、さらに兵庫県の淡路島において2018年1月現在、144店を展開しています。商勢圏においては近年、同業態のSMのほか、食品の取り扱いが大きいDgS、ディスカウントストアといった異業態も勢力を増しており、年々競争が激化しているのが現状です。
──社長就任後、どのような方針で経営にあたっていますか。
平尾 社長に就いて、まず実行したのは店舗巡回です。最初の約4カ月間ですべての店舗に足を運んで、品揃えや店づくりがどうなっているかを確認しました。全社に向けて発信したのは、「もう一度、地場のSMになりきろう」というメッセージでした。
たとえば、高知県の店に行くと、香川県の商品は並んでいるものの、高知県の商品は決して多くありませんでした。また、よく調べてみると、同じ香川県であっても高松エリアと観音寺エリアでは好まれる味が違うことがわかったため、「四国のマルナカ」ではなく、各地域に密着したマルナカをめざすことにしました。競争が激しい時代にあっては、地域ニーズにきめ細やかに応えることにより、お客さまの満足度を上げたいと考えています。まだ不十分ですが、徐々に品揃えを見直しているところです。
──来店客の反応はいかがですか。
平尾 厳しい競争環境により、業績が低迷した厳しい時期もありましたが、現在は少し持ち直しています。実際、競合店が増えているため客数を大きく増やすことは難しいのですが、地場商品の強化や個食化、少量化を徹底して買上点数を上げていこうとしています。17年2月期の売上高は対前期比0.6%増(既存店ベース)、18年2月期も前期実績をクリアできる見通しです。
地場の総菜メーカーと連携、各地域で好まれる味を実現
──具体的には、どのように各地域の味に対応しているのですか。
平尾 現在、最も強化する部門は総菜です。もともと当社は生鮮素材に強いSM企業でしたが、近年は即食需要が高まっているのを受け、総菜売場を広げ、品揃えを拡充しつつあります。そのなかで寿司めしひとつをとっても、香川県と高知県ではまったく味つけが異なります。香川県は総じて甘い一方、高知県はゆず風味の酸っぱい味が好まれます。
これに対し、各地域の総菜メーカーや食品メーカーの協力を得ながら、需要に応えようとしています。基本的に四国各県に、淡路島を合わせた5つのエリアに分けて、それぞれ異なる企業と連携し、品揃えをしています。当社子会社に、弁当や寿司、和総菜の製造を手がける味彩工房(香川県)がありますが、こちらは主に香川県の味付けに特化しています。
たとえば徳島県で販売している商品に徳島産ほうれん草の白和えがあります。これも地元のメーカーに地元食材でつくってもらっていますが、味彩工房の商品のときと比べて、1.5~2倍も売れるようになりました。総菜は売場を拡大していることもあり、既存店ベースの売上高は対前年比5%増で推移しています。