出直るセブン&アイ株 Speedway買収への期待、脱コングロマリットへの思惑はどこまで織り込んだ?

椎名則夫(アナリスト)
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脱コングロマリットの必然

  筆者は同社がコンビニ事業に特化し、これに対して今後シナジーが乏しい事業は切り出すべきだと考えます。

  具体的には、百貨店事業、専門店事業に含まれるデニーズとニッセンが切り出しの対象になるでしょう。これらは低収益、低資産効率でキャッシュフローも芳しくなく、しかもコロナ禍でこれらの事業が、国内コンビニ事業が苦しいときに全体の事業の下支えにならなかったことを露呈してしまいました。

  各社の不動産の含み損益の状況について精査ができておりませんので、これをひとまず除外して考えた場合、これらの子会社株を譲渡してもこれまでの損益推移からみて多くのキャッシュインは見込めないかもしれません。ただし、百貨店の負債は一定程度引き渡すことは可能だと思いますし、百貨店と専門店で想定されるマイナスのフリーキャッシュフローを止めることができるはずです。

新中計は期待を超えるか?

  以上のように、筆者は最近のセブン&アイの株式時価総額の「上乗せ」部分にはSpeedway買収効果と脱コングロマリット化コミットの2つの要素が働いているとみています。

  したがって、来る新中計ではこの2点それぞれに有効回答を期待したいと思いますし、そうでなければ株主は黙っていないと思います。確かにこれまで百貨店事業では不採算店舗の閉鎖・譲渡を進めるなど事業効率の改善に努めてきたことは間違いありませんが、不採算事業の止血が完了し成長軌道に回帰する道筋が描けたとは残念ながら言えません。価格の問題を別にすれば、切り出すべき事業の買い手が全くいないとも考えられません。

  さらに、セブン銀行との親子上場問題を解消するのか、コロナ禍で売上がいまひとつに終わったイトーヨーカ堂をどうするのかという点も重要論点です。

 1日も早い新中計の発表を心待ちにしています。

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