洋風食品専門店のサンクゼールが和のセレクトショップ「久世福商店」を立ち上げたきっかけとは?
今後は郊外や地方都市への出店にシフト
サンクゼールは20年3月期まで10期連続で増収を続けていたが、「サンクゼール」「久世福商店」ともに商業施設への出店が大半であるため、コロナ禍では売上に大きく影響を受けたという。とくに一度目の緊急事態宣言の際は、約150店舗のうち3分の2ほどが休業状態となった。
しかし、今後も利便性や集客などの観点から商業施設内への出店を基本としつつ、「久世福商店イオン釧路店」(北海道釧路郡、19年12月開業)や「久世福商店ピオニウォーク東松山店」(埼玉県東松山市、20年10月開業)など、人口10~20万人規模の地方都市に出店した店舗が好業績を収めていることから、郊外や地方都市での展開に主軸を置きたい考えだ。「こだわりの日本食材を購入できる場所が地方にはほとんどない。当社の商品を自分でも食べたい、他の人にも薦めたいと思っている方は地方にも一定数存在するとみている」(常務取締役 リテール事業本部長 久世福商店ビジネスユニット ユニット長 山田保和氏)。
一方、コロナ禍では在宅勤務の普及などもあり都市部での外出機会が減っていることから、東京・大阪を中心に都市部立地の約20店舗を閉店した。
今後は年間10~12店舗ほどの出店を続ける考えだ。基本的には「久世福商店」を出店しつつ、「サンクゼール」では既存店やワイナリーやレストランなども有する本店をブラッシュアップすることでブランド力の向上に注力する。「本店は丘の上にあり、周りは自然豊かでゆったりできる。田んぼやリンゴ畑の眺めも素晴らしい。このロケーションを活用し、訪れたお客さまにおいしいワインでゆっくりとした時間を過ごしてほしい」(山田氏)
次回はサンクゼールのSPA戦略やECプラットフォーム事業について解説します。お楽しみに!