「SMだけでは永続的な成長は難しい」食品製造小売業に舵切り!=阪食 千野 和利 会長

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア)
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付加価値創造に挑む!

京阪神エリアを基盤に事業展開する阪食(大阪府/河村隆一社長)。食品スーパー(SM)の独自フォーマット「高質食品専門館」を原動力とし、着実に成長を続けている。同社は今後、出店を加速する方針で、さらなる事業拡大を図るという。千野和利会長にこれまでの成果や将来展望を聞いた。

新フォーマットが全体の7割

阪食 代表取締役会長 千野 和利
阪食 代表取締役会長 千野和利(せんの・かずとし) 1948年生まれ。72年、関西学院大学法学部卒、同年阪急百貨店に入社。99年取締役。2001年阪急オアシス代表取締役社長、06年9月より、阪食代表取締役社長。14年4月より阪食代表取締役会長(現在)。

──SM「高質食品専門館」の展開を開始し6年半が経過しました。

千野  2009年7月の阪急オアシス千里中央店(大阪府豊中市)を皮切りに、新規出店や既存店改装を通じ、新フォーマットによる店舗網を拡大してきました。現在の店舗数は80店、うち「高質食品専門館」は57店で全体の7割超を占めるまでになりました。

業績も順調です。11年3月期の阪食グループの売上高は954億円、営業利益17億円でしたが、15年3月期は売上高1132億円、営業利益24億円となり、6期連続の増収増益を達成しました。営業利益率も当初の1.8%から直近は2.1%で、毎年伸長しています。16年3月期は、売上高1249億円、営業利益28億円で着地する見込みです。

──確実に事業を拡大していますが、会社経営にあたり何を意識していますか。

千野  「永続的な成長」です。本来なら「急速な成長」をめざしたいところですが、不確実で不透明な時代にあっては、よほど優位性のあるノウハウ、商材がなければ難しい。ではゆるやかであっても「永続的な成長」を実現するにはどうすればいいか。それは競争力ある経営施策を打ち出し続けることです。

 そして、そのためには時代の流れや変化を敏感に感じ、対応できる経営層、従業員が不可欠です。つまり「永続的な成長」をめざす経営では人材育成が最大の課題だと認識しています。

──どのように育成しますか。

千野 そこで考え出したのがSM「高質食品専門館」です。「専門性」「ライブ感」「情報発信」をキーワードに、それらを具現化する品揃え、売場づくりをしているのが特徴のフォーマットです。実は、この3つのキーワードこそが人材育成の要になっています。

 その目的は、今説明したような人材を育成することです。しかし「時代の変化を読み、対応しなさい」と言っても何をどうすればよいかわからないでしょう。

 そこで3つのキーワードを設定することで各人が時代を読み、対応する力をつけられるようにしているのです。たとえば精肉部門の担当者なら、3つのキーワードの視点で品揃えや売場づくりを工夫するでしょう。日々、売場に立っていると「脂身ではなく、赤身のほうが喜ばれるかも知れない」「和牛ではなく、輸入牛を使ってコストを低減できないか」などと考えるはずです。つまり仕事を通じ、マーケティングを学ぶという仕組みになっているのです。

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記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

ダイヤモンド・チェーンストア編集部は、業界をリードする提案型編集方針を掲げ、小売業の未来を読者と共に創造します。私たちは単なるニュース伝達に留まらず、革新的なビジネスモデルやトレンドを積極的に取り上げ、業界全体に先駆けて解説することを使命としています。毎号、経営のトップランナーへの深掘りインタビューを通じて、その思考や戦略を読者に紹介します。新しくオープンする店舗やリニューアルされた店舗の最新情報を、速報性と詳細な分析で提供し、読者が他では得られない洞察を手に入れられるよう努めています。私たちの鋭い市場分析と、現場の細部にわたる観察を通じて、注目すべき店舗運営の秘訣を明らかにします。

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