「日本最大の6次産業」を標榜、第1次産業を守り、育てていきたい=神戸物産 沼田博和 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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「業務スーパー」をフランチャイズ(FC)方式で展開する神戸物産(兵庫県)。「日本最大の6次産業」を標榜し農産、水産、畜産といった分野へも積極的に進出。流通の川上に遡る「製造業フランチャイザー」という独自のビジネスモデルで成長を続ける。沼田博和社長に、現在力を入れている取り組みや今後の展望について聞いた。

好調の要因は価格見直し

──今春、消費税が引き上げられました。駆け込み需要や増税後の動向について教えてください。

神戸物産 代表取締役社長
沼田博和 ぬまた・ひろかず
1980年生まれ。05年3月、京都薬科大学大学院薬学研究科修士課程修了。大正製薬総合研究所を経て、09年4月、神戸物産入社。11年1月取締役、12年2月から現職。

沼田 増税前の駆け込み需要は、想像をはるかに超えるほどの売れ行きでした。本社と同じ敷地内にある直営店舗に至っては、3月の最終週には、かなりの品薄となりました。

 その分、増税後の反動減を心配していたのですが、おかげさまで売上高は全国の大半の店で順調に推移しています。4月に入ってからは第1週目こそ対前年同期比の実績を落としましたが、2週目以降はこれまで前年実績をクリアしています。

──売上好調の要因は何だと考えていますか。

沼田 従来の低価格路線を強め、売れ筋や購買頻度の高い商品を中心に価格を下げたことが奏功したと考えています。具体的には4月から全取扱いアイテムの1割強にあたる500品目の値下げを実施しました。増税前の価格は税込み表示でしたが、増税後は本体価格をメーンに、税込み価格を併記するスタイルに切り替えました。

 たとえば、麺類や豆腐など需要の高い商品を戦略商品と位置づけて値下げを行ったほか、税込み88円均一で販売していた商品の一部を値下げして税別78円均一で大きく展開しました。「徳用ウインナー」(1000g)は以前、税込み498円でしたが、増税後は税抜き460円、税込み496.8円、「おとなの大盛りカレー 中辛」(250g×5)は税込み298円を、増税後は同275円、税込み297円といった要領で改めました。消費税率が3ポイント(pt)の引き上げとなりましたが、いずれも本体価格を3%以上値下げし、税込み価格でも安さを訴求しました。

 増税前後で客単価に大きな変化はありませんが、客数は増加しています。当初、実質値下げによって店舗段階の値入率は0.2pt減になると試算していましたが、一部商品の価格を見直したことによる粗利ミックス、さらに結果として売上高増により粗利額は大幅に拡大しました。

──「業務スーパー」は14年9月末現在で681店と、店舗網の存在感も増していますね。

沼田 2013年10月期は、連結売上高1794億9900万円(対前期比14%増)。14年10月期に入ってからも順調で、今年7月までの第3四半期の実績では売上高1598億8800万円(同24.1%増)、営業利益36億9100万円(同119.1%増)、経常利益43億7200万円(同39.2%増)となりました。最終的に売上高1986億円、店舗は685店以上で着地する見込みです。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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