マーケット縮小、競争激化、変化に対応できる企業が生き残る=ヨークベニマル 大髙 善興 社長
──2014年2月期までは毎年10店舗以上の新規出店がありました。これに対して15年2月期の新規出店は8店舗と、ここ数年に比べて出店を抑制する計画です。
大髙 東北地方では、東日本大震災以降、復興のために建設業界が活況でした。そこへ20年の東京オリンピックの開催が決まったことで、建築コストが一気に上昇したかたちです。これは東北地方に限らない、全国的な現象になっているようです。
1坪当たりの建築コストが50万円を超えるようでは、採算が取れません。そのため今年の上期の新規出店は2店舗に抑え、既存店の活性化を強化する方針です。1店舗当たり3億円を投資して、月に1店舗ずつ、3年で36店舗の大型改装を実施します。消費者が変化していますので、それに合った売場に変えていきます。
──既存店の改装のポイントを教えてください。
大髙 今後の売場の改装では、総菜売場が大きなポイントになります。お客さまを見ていると、食事をつくる時代から、食べるだけの時代になっている。調理に時間を掛けない傾向が強まっているので、デリカ部門はこの先も成長を続けると考えています。
当社の総菜売場は、総菜子会社のライフフーズ(福島県/松崎久美社長)が運営しています。ライフフーズは近年、自社工場でつくった総菜の売場「だんらんDELI(デリ)」のコーナーを拡大してきました。新店ではだんらんデリのコーナーに、70尺程度を割り当てています。これを既存店にも導入していきます。
総菜売場を大きくしようとすれば、店舗全体の配置を見直し、改装する必要があります。新規出店を減らして、既存店に投資し、変化するお客さまに合わせた新しいフォーマットに切り替える方針です。
──だんらんデリの新しいカテゴリーとして、ライフフーズは4月から自社製造の冷凍食品の展開を始めました。コーンスープやパスタソース、ギョーザなどを自社工場でつくっています。
大髙 SMが想定するお客さま像は、かつては「ファミリー」でした。それが今では、地域によっては1~2人世帯が7割を占めるところもあるほどで、当時と比べてお客さまの生活は大きく変化しています。家族構成が変わり、働く主婦が6割を超える今、冷凍食品のように必要なときにすぐ食べられる便利さが求められていると考えています。