経営効率を向上し、確実に利益を生み出せる仕組みをつくる=バロー 田代 正美 社長
PBの売上シェアを拡大し収益性を改善する
──店舗網の拡大を支えるため、物流センターの整備にも力を入れています。12年11月には、岐阜県可児市に新しく「ドライ物流センター」が稼働しました。
田代 これまで、岐阜県多治見市の本部に隣接していたセンターを移転し、規模を拡大したほか、処理能力も高めました。
従来は、取引先に店舗別の仕分けをしてもらっていたのですが、現在は在庫型センターとなり、在庫から仕分け、各店への配送までを自社で行うようにしました。現在、ドライ物流センターの向かいには、青果物のプロセスセンター(PC)を併設したチルド物流センターを建設している最中です。今夏にも稼働する予定です。
ここ数年、インフラ整備を戦略的に進めてきましたが、それもあと1年ほどで一段落します。今後5年間は店舗が増えても、それらのインフラにより、各店舗に効率的に商品を供給することができます。
──「規模の拡大」と並んで、「製造小売業への進化」を重要な戦略として掲げています。
田代 衣料品などの専門店チェーンでは、高い収益性を実現する製造小売業が生まれてきました。当社も、プライベートブランド(PB)の開発にあたって、原材料の調達などから手がけることで、付加価値を生み出すことをめざしています。単にモノを仕入れて販売する小売業から、製造小売業へと進化しなければいけないと考えています。
ただ、課題もあります。中期経営計画がスタートした当時、PBの売上高構成比を上げながら、出店で店舗数が200店になれば、収益性を改善できると考えていました。13年3月期末で当社グループの国内店舗は236店になりましたが、収益性は想定ほど改善していないのが現状です。
──収益性が改善しなかった理由は何ですか。
田代 われわれが扱っている商品が食品だからだと思います。衣料品や家具といった非食品の粗利益率は高く、それを扱うメーカーの儲けも大きい。だから、それを製造する機能を自社に取り込んだ小売業は大きく収益性を向上させることができたのです。
それに対して、そもそも食品は儲けが少なく、メーカー、さらにそれを扱う卸売業、小売業も大きな利益を出していません。だから、当社の収益性も大きく変わらなかったと考えています。
──食品の製造小売化を進めるメリットをどこに見いだしますか。
田代 多段階の流通経路を含めて、日本の流通は複雑で、何か商品を仕入れるとなると、小売業まで届くのに長い経路を要します。
ですから、製造小売業へシフトすることで、その長い経路を短縮化し、川上から原材料を安く調達できるというメリットは大きいと思います。これまでどおり、PBの売上構成比を2割以上、さらに3割程度まで拡大しながら、収益性の改善を実現していきたいと考えています。