かつや堅調・からやま好調で鮮明になったコロナに勝った外食チェーンの共通項
なにが外食チェーンの明暗を分けたのか
明暗を分けたのは、主軸のメニューだ。ハンバーガー、ピザ、牛丼、カレー、そば、うどん、とんかつ…。多様なメニューがひしめくファーストフード業態の中でも苦戦を強いられたのは、ビジネスパーソンのランチ需要と相関の高いチェーンだ。在宅勤務の拡大で、オフィス街での需要が激減したのである。現に、不況に強いハズの牛丼チェーンの多くが、コロナ禍では低迷を強いられた。
連動して肝になったのは、ファミリー需要だ。ステイホームが常態となったコロナ禍では、テイクアウト需要が増大。同時に、自宅へのデリバリーも拡がった。そうなるとファミリー世帯の食事はどうしても子ども中心のメニューにならざるを得ない。ハンバーガーやピザ、そしてとんかつが、宅配需要の多くを取り込んだのは、ある意味で当然の結果ともいえる。同社の2020年のテイクアウト比率は55%。数字にもその状況が如実に現れている。
店舗の9割が郊外ということもかつやにとって追い風となった。上記のビジネス需要のダメージを地理的に最小限に抑制できたからだ。くわえて第2の柱と位置付けるから揚げ専門店の「からやま」の躍進も同じ文脈に位置づけることができる。「からやま」の売上高は84億円を突破し、対前期比で17.8%増となり、同社の構成比においても21.8%を占めるに至っている。一方でアークランドサービスHDでは、『マンゴツリーカフェ』を展開するミールワークス(20年3月子会社化)や『岡むら屋』を展開するアークダイニングなど、「首都圏を中心に展開している各子会社は苦戦した」とも話している。