開業から3年、都市型小型店八百幸成城店の大進化と残された課題
直輸入ワインが好調!
成城店独自の商品も
総菜売場に続く、入口から見て店舗左奥壁面では、日配売場を展開する。壁面に和日配(豆腐、揚げ、納豆など)、洋日配(スイーツ、牛乳、ヨーグルトなど)、平場に漬物、練物、中華麺などを扱う。工夫が見られたのが平場のパンコーナーだ。成城店はインストアベーカリーがなく、そのうえ店舗のすぐ隣にパン専門店があるためか、天然酵母を使用した「白神こだま酵母」をはじめ、ほかの店舗では扱いのない付加価値型の商品を差し込み、品揃えにメリハリをつけていた。
酒類は、約13坪(歩測)とコンパクトなスペースで売場を展開。店舗からそれほど離れていない距離にある「成城石井成城店」「クイーンズ伊勢丹仙川店」など高質商品を扱う競合への対策として、ワインの品揃えにこだわっているようだ。中でも売場内で存在感を放っていたのが壁面の直輸入ワインコーナーで、多くのお客が購入していた。ワインの需要の高い地域であるのは間違いなさそうだ。
加工食品、菓子売場は、通常よりも背の高い什器を採用し品揃えを確保している。商圏特性を考慮してか、こだわり商品を随所に導入しており、たとえば、だしコーナーでは、大分県の「姫野一郎商店」、京都府の「福島鰹」などローカルの老舗メーカーの各種商品を取り揃える。
菓子売場では、輸入菓子に力を入れており、7段の3尺棚4本を使って92SKUを揃える。そのほか米菓も重視しているようで、大阪府老舗メーカー「井崎商店」をはじめ、ほかの店舗では見られないこだわり商品を差し込んでいた。
課題は「坪効率」
カギは付加価値商品か
成城店の開店から3年以上が経過したが、「八百幸」屋号の2号店はいまだ出店されていない。だが、ヤオコーの今後の出店戦略の中で、成城店で蓄積したノウハウ・経験が生かされるのは間違いない。
都市型小型店の運営においては、いかに坪効率を上げるかが重要となる。コロナ禍で客数を伸ばすことがますます難しくなる中で坪効率を上げていくためには、いかに客単価をアップさせるかがキーポイントとなる。そして、そのための方策の1つが付加価値商品の販売ということになるのだろう。
その点、成城店では、鮮魚部門で扱う「鮮魚寿司」、魅力的なラインアップの総菜、直輸入ワインをはじめとしたオリジナル商品など、付加価値型の商品を販売できる体制はすでに構築されているといっていい。チラシなしで販売にメリハリを付けるのは難しいが、お客の様子を見るに、そのノウハウも蓄積されつつあるようだ。20年末の会見の席上で川野社長は、都市型小型店について「物件があれば、2号店、3号店の展開も進めていきたい」とコメントしている。今後もヤオコーの都市型小型店への挑戦に注目だ。
八百幸成城店 店舗概要
所在地 | 東京都調布市入間町1-35-1 |
開店日 | 2017年11月7日 |
店舗面積 | 962㎡ |
営業時間 | 9:30~21:00 |
駐車台数 | 24台 |
駐輪台数 | 53台 |
徹底研究!最強スーパーヤオコー の新着記事
-
2021/02/12
ヤオコー、高収益体質の秘密と死角に、トップアナリストが迫る! -
2021/02/12
ヤオコーが新たな売れ筋にしたい「仕掛け中」の総菜とは? -
2021/02/12
ヤオコーの強さの秘密は「売場効率」にあり!?名物アナリストが徹底解説! -
2021/02/11
売場・商品作りは徹底的に標準化 ヤオコーの強さを支えるという「個店主義」の本質とは -
2021/02/11
次点より2.3倍の高額落札!ヤオコーが他社よりも物件開発に「高い金」を出せる理由 -
2021/02/10
開業から3年、都市型小型店八百幸成城店の大進化と残された課題
この特集の一覧はこちら [11記事]
ヤオコーの記事ランキング
- 2024-10-23ヤオコー川口SKIPシティ店がオープン、豊富な品揃えの弁当をレポート!
- 2024-11-08専門家がヤオコー久喜吉羽店を徹底分析!斬新な鮮魚改革と意外な課題とは
- 2024-11-18既存店の数字が良い企業は実践!競合スーパーが進出しても影響を受けない方法
- 2024-11-20子育て世代をターゲットにするヤオコー川口SKIPシティ店の最新MDを徹底解説
- 2024-11-12減益SM相次ぐなか中間決算絶好調のヤオコー、増収増益記録更新に向け視界良好!
- 2024-10-23週刊スーパーマーケットニュース ベルク上期決算増収減益も通期では増収2ケタ増益見込む
- 2024-11-15週刊スーパーマーケットニュース アオキスーパー、「レジ専用イス」を全店に設置が完了
- 2024-11-01週刊スーパーマーケットニュース マックスバリュ東海、小型店を静岡県伊東市にオープン
- 2021-02-09ヤオコー旗艦4店舗を徹底分析!生鮮+総菜一体型売場進化の系譜と回遊性の課題解決はこう進む!
- 2024-03-11ストアオブザイヤー2024、7~10位 ヤオコー、ロピアのあの店がランクイン
関連記事ランキング
- 2024-11-08怒濤の出店で1兆円が見えたロピア!大きな進化と懸念される副作用とは
- 2024-11-07「Foods Park」の17店舗目はイオンの跡地に居抜きで出店!
- 2024-10-23ヤオコー川口SKIPシティ店がオープン、豊富な品揃えの弁当をレポート!
- 2024-11-18レシートは語る第15回 まもなく関西進出のオーケー、データでわかる競争力と成功のカギ
- 2024-11-0633億円めざすマミーマート、生鮮市場TOPセキチュー上尾店徹底解説
- 2024-11-12価格訴求から価値提案にシフト?「岡崎エルエルタウン店」で見られたロピアの進化
- 2024-11-08専門家がヤオコー久喜吉羽店を徹底分析!斬新な鮮魚改革と意外な課題とは
- 2024-11-08店舗網とM&Aの歴史が丸わかり!最新ロピア勢力図MAP!
- 2024-11-18既存店の数字が良い企業は実践!競合スーパーが進出しても影響を受けない方法
- 2024-11-20子育て世代をターゲットにするヤオコー川口SKIPシティ店の最新MDを徹底解説
関連キーワードの記事を探す
週刊スーパーマーケットニュース アオキスーパー、「レジ専用イス」を全店に設置が完了
冷食、京都MD強化 イオンスタイル伏見桃山の売場づくりを解説
子育て世代をターゲットにするヤオコー川口SKIPシティ店の最新MDを徹底解説
週刊スーパーマーケットニュース アオキスーパー、「レジ専用イス」を全店に設置が完了
子育て世代をターゲットにするヤオコー川口SKIPシティ店の最新MDを徹底解説
既存店の数字が良い企業は実践!競合スーパーが進出しても影響を受けない方法
専門家がヤオコー久喜吉羽店を徹底分析!斬新な鮮魚改革と意外な課題とは