顧客分析とプロセスセンター駆使する合理的スーパー、オギノがセルフレジを導入しない理由
データ活用でSM側の固定観念を払拭する
──最近は、生鮮を含む食品を強化するドラッグストア(DgS)やディスカウントストア(DS)の攻勢もあり、業態を越えた戦いが激化しています。
荻野 実は当社の店舗では、近隣にDgSやDSの店舗がオープンしても、開店からしばらくするとお客さまが戻ってくる傾向にあります。
お客さまのニーズは非常に多様です。安い商品だけでなく、ハレの日向けや小容量サイズ、地域性を反映した商品も求められます。しかし、こうした細かいニーズへの対応には技術が必要で、DgSやDSには難しいのではないでしょうか。
FSP分析によるお客さまの購買行動に沿った提案も当社の強みです。お客さまは、野菜から肉、魚と部門を横断して買物をされます。他方、販売するSM側はその組織構造を背景に部門別意識が強いまま売場づくりをしている傾向があります。当社でも改善に5年以上かかりましたが、縦割りの意識を取り払うとお客さまの真の姿が見え、買いやすい売場をつくれるのです。
たとえば、山梨県内のウナギ専門店ではウナギに奈良漬けを添えます。そこで、土用の丑の日には当社でも奈良漬けを併売していました。しかしFSPのデータを見ると、実はお客さまは奈良漬けではなく、シジミや刺身、カットフルーツなどを同時購買する傾向にあることがわかりました。このように真にお客さまが求める商品の提案には、売る側が固定観念と部門の垣根を取り払うことが必要だと考えています。
オギノ 会社概要
本社 | 山梨県甲府市徳行1-2-18 |
資本金 | 5000万円 |
設立 | 1953年9月1日 |
年間売上高 | 742億円(2020年2月期) |
店舗数 | 49店舗(20年9月時点) |