コロナショックに打ち勝つアパレルビジネスの戦略を戦略コンサルの私が提言しよう
非常事態に景気が悪いのがなぜ悪い?
私は、このコロナショックを境に、日本の会社の「通勤地獄」がなくなり、コンサルティングファームで普通になされているPlace free (オフィスでも自宅でもどこでの仕事ができるやりかた)が一般化するきっかけになればよいと思う。そして、そもそも生産性の低いホワイトカラーの仕事の質を、時間でなく成果で計るやりかたに変えるべきだろう。もはや、我々日本人の時給を鑑みれば、時間などは仕事の付加価値とはなんら関係ないのだ。
もちろん、物理的にオフィスにある機器や特別な仕事をしている人達は上記にあてはまらない。また、もっとも打撃をうけている外食などの店頭にいらっしゃる方への影響が凄まじいものがあることは知っている。こうした方達には、人類の科学と医学がウイルスに打ち勝つまでの雇用と給与の保証を政府がすべきだ。ANAが5000人の特別休職を決定し、給与を保証したというニュースをきいて、政府は一体何をしているのか、と憤りを感じた。こういうときにこその血税ではないか。ANAのような対応ができない多くの中小企業に対して早急に、雇用の確保と損失の補填を決定すべきだ。
こうした二段構えで、「そのとき」が来るまで我々は耐え抜き、そして、これを期に仕事のやり方を大きく変え、政府も株価をあげることばかり考えるのでなく雇用の質を正規、非正規に関わらず保証をし、国民は自宅待機をして「その時」を待つ。ターンアラウンド(企業再生)には、「ジャンプする前に一度必ずしゃがむ」という格言がある。これは、企業の売上・赤字、国家のGDP下落などをおそれないということだ。むしろ、思い切って経済を失速させ、ウイルスに人類が勝利をしたあとに速やかに再建できる下地を用意すべきである。
次週、今回挙げた課題をまとめ、アパレル企業が取り組むべき4つのことを提言したい。
プロフィール
河合 拓(事業再生コンサルタント/ターンアラウンドマネージャー)
ブランド再生、マーケティング戦略など実績多数。国内外のプライベートエクイティファンドに対しての投資アドバイザリ業務、事業評価(ビジネスデューディリジェンス)、事業提携交渉支援、M&A戦略、製品市場戦略など経験豊富。百貨店向けプライベートブランド開発では同社のPBを最高益につなげ、大手レストランチェーン、GMS再生などの実績も多数。東証一部上場企業の社外取締役(~2016年5月まで)