二大国民食「唐揚げ」×「おにぎり」で挑む吉野家の新業態『でいから』の勝ち筋

小内 三奈

吉野家が誇る「職人気質」で本格派の味を追求

でいからのおにカラセット
おにカラセット(柚子香る鮭マヨネーズ、悪魔のおにぎり、奥が唐揚げ)

 おにぎりにもこだわる『でいから』は、スーパーマーケットやコンビニのおにぎり以上のクオリティでありながら、専門店よりも手に取りやすい価格帯をめざして開発されたという。何よりこだわっているのは、ふんわりとした食感だ。

 石川氏は「工場のように型にはめて成形し過ぎると、どうしても固くなりふんわり感は損なわれてしまう。6~7割を従業員が手で握ることでふんわり感を再現し、口の中でほぐれる感覚を大切にしている」と話す。

 ただ、それだけのクオリティに仕上げるためには、従業員への教育も徹底しなくてはならない。そこに、吉野家が長年培った「店内調理」のノウハウやスピリットが生かされている。というのも、吉野家の牛丼も工場から運ばれたものをただ温めて出しているだけではなく、従業員の手によって一つひとつ店内調理されているからだ。

 「牛丼の吉野家の店舗に届くのは、あくまでもスライスされた状態の牛生肉。店舗に秘伝のタレがあり、そのタレで牛肉を煮込んでから提供しているので、吉野家で働いているアルバイトを含む全従業員が、『自分の作る牛丼が一番おいしい』と自信を持っているのが強み。『でいから』で働くスタッフもその職人気質を継承している」

 メニューには、唐揚げ4個とご飯、スープがセットになった「からあげ定食(税込792円~ )」と、おにぎり2個と唐揚げ1個、スープをセットにした「おにカラセット(税込715円~)」がある。おにぎりは「炙り鯖」や「柚子香る鮭マヨネーズ」、変わり種として「から揚げ専用のおにぎり」や「悪魔のおにぎり」など10種類。さらに、「ブロッコリーおかか胡麻和え」や「味噌たたききゅうり」など9種類の“彩り小鉢”も用意している。※価格は2025年2月末取材時時点

 「『でいから』というネーミングは、『エブリデイから揚げ』というコンセプトをもとに名付けたもの。店名の通り、毎日のように通って健康的な食事をしてほしい、さらに毎日食べても飽きないようにとの想いを込めてフレーバーを増やし、健康面も意識して彩り小鉢にも力を入れている」(石川氏)

 唐揚げといえばご飯とセットで食べたいと思う人が多そうだが、「からあげ定食」と「おにカラセット」、どちらが人気なのだろうか。

 「当初は男性客を中心に『からあげ定食』が主力と考えていたが、実際には男性も含め多くのお客さまに『おにカラセット』も選んでいただいている。販売比率は約6:4になっている」(同)

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