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二大国民食「唐揚げ」×「おにぎり」で挑む吉野家の新業態『でいから』の勝ち筋

小内 三奈
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吉野家(東京都/河村泰貴社長)が昨今、新業態の開発・拡大を進めている。2024年12月、新たにオープンしたのが、『から揚げ専門店 でいから』だ。「うまい、やすい、はやい」の3拍子揃った牛丼の吉野家がなぜ今、鶏肉で勝負に挑んだのか。吉野家が長年培ってきた知見と基盤を生かして誕生した「から揚げ」の特長とは。新業態開発推進部 でいから営業部総大将の石川雄大氏に話を聞いた。

※当編集部の表記ルールは「唐揚げ」だが、業態名、商品名はそれに合わせ「からあげ」「から揚げ」と表記している

「唐揚げ」×「おにぎり」の最強コンビで勝負

でいからのからあげ定食
からあげ定食

 真っ赤な外観がひと際目を引く『から揚げ専門店 でいから』は、神奈川県横浜市に、吉野家初の鶏肉を使用した新業態としてオープンした。コロナ禍以降、吉野家では、消費者の食へのこだわり、多様なニーズに対応するため新業態の開発を進めてきた。すでに「牛かるび丼・スンドゥブ専門店 もうとりこ」「カレー専門店 しあわせのビーフカレー」を展開しているが、この2つは牛丼と同じく牛肉をアレンジした業態。しかし、今回は鶏肉を主役にしている。

 唐揚げといえば、コロナ禍のテイクアウト需要でブームが加速したが、そのブームはやや落ち着いている。なぜ今、あえて唐揚げ専門店に挑戦したのか。

 石川氏曰く「唐揚げは日本の国民食。老若男女問わず愛される食べ物である点に目をつけた」という。「唐揚げブームは、鶏肉が安価で調達できたことや、低コストでの出店メリットを背景とした”唐揚げ店出店ブーム”であったと考えている。出店ブームが去ったのは確かだが、唐揚げがその後大衆から受け入れられなくなったわけではない」

 『でいから』の唐揚げは、唐揚げブーム火付け役の一人とされる人からコンサルティングを受けた製法を採用し、店舗で一から仕込みを行っている。

 「鶏肉を特性のたれに漬け込み8時間以上寝かせた後、粉を付ける工程を経てさらに2時間以上熟成。合計10時間以上寝かせることで深い味わいを実現し、熱々の状態で提供している」(石川氏)

 定番の「カリカリから揚げ」のほか、「一番ダレ」「辛甘醤油」など7種類のフレーバーを用意。看板メニューは、揚げたての唐揚げにご飯、スープが付いた「から揚げ定食」だ。さらに『でいから』は、おにぎりにもこだわる。

 「おにぎりもまた、ブームの渦中にあるが、日本の代表的な国民食として広く親しまれている上、手軽に食べられるフィンガーフードとしても高い需要がある。しかし、その両方にこだわる専門店は意外に少ないのが現状。そこで『でいから』は、唐揚げとおにぎりの両方にこだわりを持つことで他店と差別化を図ることを考えた」

 1号店がオープンして約3か月が経過し、売上は順調なスタートを切っている。『でいから』は、唐揚げ専門店というよりも、「から揚げ専門店×おにぎり専門店」という最強コンビで勝負する新業態として誕生したことになる。

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