正しいTOC(制約理論)の理解 余剰在庫と欠品が激減する本当の理由!
先週、Goldratt consulting(ゴールドラットコンサルティング)のシステムOnebeatの考え方について議論をしたところ、こちらが驚くほどの数多くの反響が届いた。「概念的には理解できたが、具体的にどのようなメリットがあるのか」という点について、TOC (制約理論)を活用して説明して欲しいというリクエストだ。そこで今回は第2弾としてさらにTOCを深掘りしていこうと思う。今回も飛田基氏にご登場いただいた。

既存余剰在庫削減パッケージとTOCは何が違うのか?
河合 私の元にきた質問で最も多かったのが「余剰在庫処理のための既存のソフトウエア・パッケージをすでに導入しているが、不具合はないのか」というものでした。
飛田さんの説明によると、既存の余剰在庫ソフトウエア・パッケージでは、在庫をいくつかのセグメントで「見える化」するのみで、それ以上を求めるアパレルには馴染まないというものでした。やはり「まずは、『見える化』からやらないといけない」と考えることに落とし穴はないのか? ここから入りましょう。
私の考えは、それなりの効果は期待できるものの、効果は非常に限定的で、余剰在庫削減には広義には繋がらない、というものです。前シーズンのセール、来期の新商品企画、残った在庫の処理などが複雑に、それこそ日々変化をしながら動いてゆきます。これをいくつかのカテゴリーで分類する、いわゆる「見える化」は、複雑に絡み合った在庫をシンプルにわけるのですが、そのスピードや精度までシステムは保障してくれませんし、そもそも初期投入が大きく間違っていては、何をやってもダメですね。そういうとき、サプライチェーンの上流工程(生産)から下流工程(販売)、MDからバイイング、追加発注、リードタイム、残反の計算など、全体最適ができてはじめて在庫は適正化されます。
そもそものMD精度、追加商品の精度、適切な販売の3つがキチンと揃ってはじめて在庫の適正化が可能なのです。この図のようにまとめてみました。
飛田 言い換えれば、商品の企画、物流、販売のオペレーションが全体最適でつながることで、在庫の適正化が可能になるということですね。これに2つの角度から、付け加えさせてください。
1つ目は、「属人化」の問題です。全体最適のオペレーションは、それぞれの人が自分なりのベストを尽くすだけでは実現できません。会社の各部署を横串で貫く共通の考え方が必要です。そのためのルール変更がキモになります。逆に全体最適がルール化できてしまえば、それをシステム化して強固なオペレーションを手に入れることができます。ベテラン社員は減っていくのに、新人の採用はままならないような昨今ですので、これを機会に属人性を取り除くことができれば、競合よりも1歩も2歩も先に行けるのではないでしょうか?
2つ目は、「スピード」の問題です。オペレーションのスピードは、そのまま、お金を儲けるスピードに直結します。「見える化」される⇒誰かが分析する⇒打ち手を考える⇒定例の部署横断会議ですり合わせる⇒決定事項を現場に落とす⇒実行する というプロセスでは、変化の激しい環境では、打ち手の実行が常に周回遅れになってしまうリスクがあります。一方で、サプライチェーン全体の状況の見える化と分析が自動化され、即実行可能な行動プランが示されていれば、組織全体が自律的、かつ、スピーディに動くことが可能になります。
そもそも論ですが、世の中の余剰在庫パッケージが採用している、目標在庫日数設定や、消化日予想が、設定通りに動かないのはなぜでしょうか?
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