生協の最新物流センターがすごかった! テスコ同様のシステム導入で高い生産性を実現

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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英国テスコも導入する
集品システム「BPD」を採用

 では、熊谷センターはどのような設備を導入しているのが。大きな特徴の1つは、トーヨーカネツ(東京都)の2つの最新の集品システム「BPD(ブランチ式ピックディレクター)」と「GTP(Goods to Person)」と、既存のシステムを組み合わせて設計し効率化を図っている点だ。

熊谷センター1階に配置されているBTP。作業者は運ばれてきた該当の箱に、商品を投入していく
熊谷センター1階に配置されているBTP。作業者はモニターの前に運ばれてきた集品箱に、左右に配置された棚の中から、ランプが光った棚の商品をピッキングし投入していく

 

 「BPD」は、コンベア上を流れる集品箱が、必要箇所にのみ分岐して作業者の場所に向かうというもの。作業者のもとには必要のない集品箱が運ばれてくることがなくなるため、待ち時間を短縮できるとともに、全体の作業効率が従来より3割ほど高まるという。


 同連合会の物流全般を担うパルライン(東京都/太田賜嗣夫社長)の物流再編推進室室長の飯野恵氏はBPDについて
「英国のテスコ(Tesco)でも生鮮宅配の冷蔵品の集品に採用しているシステム。国内では食品の分野で導入している企業はまだないのではないか」と話す。

熊谷センター2階に配置されているGTP。アマゾンジャパンや大手ECも導入しているシステムだ
熊谷センター2階に配置されているGTP。アマゾンジャパンや大手ECも導入しているシステムだ

 

 「GTP」は、アマゾンジャパン(東京都)をはじめ大手ECも導入しているとされるシステムで、要求とおりの順番で商品を作業者に運ぶというもの。作業者は運ばれてきた商品を集品箱に投入するだけなので、作業が単純化されるためミスを減らすことができる。「商品のピッキングミスの発生率は従来40ppm(100万回のオーダー中40回)ほどだが、同センターでは10ppmほどまで減らせる見込み」(同連合会の物流担当者)。

 

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。

最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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